ありがとうございます!


おまけ小話。老申。

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「本当にが綺麗だねぇ」

見団子と盃をはさんだ向こうで、太上老君は夜空を見上げてそう言った。
ぽっかりと嘘のように真ん丸なが浮かんでこちらを見ている。


「ええ、本当に。」


盃を傾けながら申公豹はそう返した。
団子などおいているが、実質すすんでいるのは二人とも酒ばかりで、空の徳利が後ろに何本も置かれていたりする。
心地よい酔いにふっと眠気が誘ったりするぐらいには長い時間見酒を楽しんでいた。
言いだしたのは太上老君の方で、おや珍しいと申公豹は目を剥いたが、誘いたくなるのも分かるくらいの立派な夜であった。
秋の風は少し肌寒くて、鈴虫の声が耳に優しい。


「ああ、本当に、が綺麗だ。」
「ふふっ、気持ちはわかりますが、何度目です?もう片手では足りませんよ。」


何度も繰り返される感嘆の言葉に申公豹が微笑うと、から愛弟子に視線を移した太上老君はうっそりと笑ってこう言った。


「…日本のある小説家は、〝あなたを愛しています〟というのを〝が綺麗ですね〟と表したそうだよ。」
「は……」


きょとんと、申公豹の目が開かれる。
みたいな金色の目がいっそう輝いて申公豹を映していた。


それじゃあ、先程から何度も何度も囁かれたその言葉は。


悟った愛弟子の頬が、じわじわと朱色に染まっていくのを愉快そうに見つめながら、太上老君はまた盃を傾けては告白を繰り返すのだった。





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使い古された「月が綺麗ですね」ネタ。夏目漱石の逸話より。
お月見したいなー!!
良い縁側が欲しいです。


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