「じゃあ、次の手紙いってみよっか!
 えー、RN、しゃちょさーん、から!って、絶対お前社長じゃないだろ!
 こんにちはー、こんにちはー!って、アホみたいだよな、このやりとり。
 だいたい今夜だしな。
 えーっと、最近部下の様子がおかしいです。
 男と女で年は厨二病まっただ中な奴らなのですが、今まではただの同僚というか、単なる兄妹のようなものだったのです。
 しかし最近自分が会社に戻ると不自然に離れたり、やたらと見つめあってたり、よく電話をしあってたりするようなのです。
 これってどう思いますか?
 って、それ、どう考えても付き合ってんだろ!バッカじゃねえの!」

「それを認めたかねえからわざわざ50円出して葉書出したんだよ!」

ラジオを叩き壊す勢いでツッコミを入れた俺に、うるせえ!とババァがツッコミを入れた。

「どうしたんだィ?物騒な形相で」

「どうもこうもねえよ」

イチゴミルクを自棄飲みする俺に、体に悪いですよ、とたまがやんわりと止める。
そんな様子にババァが溜息を吐いた。

「やけに荒れてるね」

「……最近新八と神楽の奴がおかしいんだよ」

「何かあったのかィ?」

ババァの言葉に俺はポツポツと説明を始めた。
ラジオの人生相談コーナーにハガキを出す程に悩んでいる事を。
最近新八と神楽の様子がおかしかった。
自分が仕事から戻ると妙に余所余所しくなったり、2人しか分からない話をしていたり。
自分が風呂に入っている時にやたらと電話をしていたりするようだし。

「そりゃあ2人が付き合ってるからだろ?」

ケロリとした顔で言い放ったババァの言葉に、何故か冷や汗が出てくる。

「いやいやいや!アホか。新八と神楽だぞ?アイドルオタクと全身胃袋のガキだぞ?いやいや、まさか」

「本当だよ。あの子達付き合う事になったってこの間報告してくれたんだよ」

「は?」

「その通りです。銀時様。私達聞きました」

「…え?」

「青臭イ、ガキ共ト、思ッテイタラッテヤツネ!」

「……嘘だろ?」

顔を青ざめさせてから、俺はすぐに2階の万事屋へと走っていった。
ガラガラガラ!と思いっきり音を立てて扉を開くと、中から慌てた気配がする。
それに更に顔を青ざめさせてから思いっきり居間の戸を開けた。

「お、お帰りネ、銀ちゃん!お登勢ん所で飲んでたんじゃないのカ?」

「お、お、お帰りなさい、銀さん。今日は早かったんですね」

2人の不自然な笑いにカッとなり、俺はそのまま勢いで怒鳴りつける。

「お前等!付き合ってるって本当か!?」

2人の目がパチクリと瞬きを繰り返す。
その様子を見て、ようやくホッと息を吐けた。
あのババァ達、嘘吐きやがったんだ、と。

「はい」

「そうだろ?付き合って…………、え?」

新八の言葉に固まってしまう。

「僕達ちょっと前から付き合い始めまして…」

「銀ちゃんにはチョット恥ずかしくて言えなかったのヨ。ごめんネ」

「……あ、うん」

そう返事をするのが俺の精一杯だった。
新八と神楽はほんのりと頬を染めている。
可愛らしいのだけれども。
とっても可愛らしいのだけれども。

「あ、でも気にしないでくださいね!」

「そうヨ!別に私達が付き合ってても気にしないデ!」

「あ、あー!そうだよな!うん!俺気にしねェぜ!そんな細けェ事気にしねェぜ!」

良かった、と笑う新八と神楽に、あはははは!と俺も笑う。
軽快に笑う。
笑うしかなかった。





「何泣いてんだィ?馬鹿だねェ」

「うっせェ」

「寂しいなら寂しいって言えば良かったのに」

「言えっか、馬鹿やろう」

あれから2人は堂々と付き合っている事を隠さなくなった。
堂々とイチャつくようになった。
それに伴う疎外感が半端ない。

「そういうのが楽しい時期なんだよ。暫くすりゃ、落ち着くって」

「うっせェ」

なんだか寂しい、とイチゴミルクを飲んでからカウンターに突っ伏したら、なんだか涙がじんわりと滲んだ。





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