だって不可抗力(ジェイド弟ネタss) あああ…アイン君がお怒りだ。実際褒められはしても怒られはしない…と思った行動だっただけに内心少し慌てた。 「…アインくん」 「はい、なんですかマスター」 「……まだ、怒ってる?」 怒ってるかと尋ねるとそれはもう、眉を寄せてジト目でこちらを睨んできたアイン君…。心配かけたとは思うがそこまで不機嫌にならなくてもいいじゃないか…。私にだって言い分はある、あるのだ。 アイン君は不機嫌になり、なおかつそれが私に対するお怒りだと口調は変わらないが名前を呼んでくれなくなる…。普段ですら様付けなのに名前すら呼んでくれないとなると寂しすぎる。そんな私の考えを分かっているからこそそうするのだろうなぁとは思う。 ふぅ、とため息を付き腰に手を当てたアイン君…いやだなぁ。こういったアイン君は思いっきりお説教モードだ。少しそれを考えて憂鬱になってしまった。そしてアイン君はそんな私の微妙な表情に気付いたのかさらに眉を寄せる。 「いいえ、私がマスターを怒るなんてことがあるわけないじゃないですか。何を仰るかと思ったら…。怒ってません、ええ、怒っていませんとも!」 「おもいっきり怒っているじゃないか!悪かった、すまないと私は謝ったじゃないか!」 「逆切れですかマスター」 「うぐぐぐぐ…と、とにかく悪かった。だけどあの場合しょうがないというか…不可抗力というか…」 「言い訳無用です」 「まぁまぁ、アインも落ち着いてください。可哀想じゃないですかそんなに怒っては…まったく」 「「元凶が何を言うか!」」 「ゲフッ!」 「あああ、アイン君!それでも暴力はいけない!」 そう、そもそも私が怒られる元凶はサフィールなのだ。まるで第三者のように会話に加わるから思わず私も突っ込んでしまったじゃないか。アインくんにいたっては言葉と同時にソファのクッションを顔に全力投球している。クッションといっても嘗めるべからず。私に当てられたことはないが、アレは本当に、痛いのだ。ああ、ほら、サフィールが涙目じゃないか。それでも泣かずにいたことは偉いと思う。 「そもそも!馬鹿で間抜けのサフィールがぶらぶらしてて湖に落ちて足なんて釣るからこうなったんじゃないか!マスターに何かあったらどうするつもりだったんだ!マスターもマスターです!すごくすごく心配しました!いきなり飛び込むなんて何考えてるんですかぁ!マスターが行くくらいなら(しぶしぶ)僕が馬鹿のサフィール、助けました!」 「ムキィイイイ!馬鹿じゃない!ばぁーら!薔薇!」 「え?バラバラ?よく分かってますね」 「うぅううう!!ふ、復讐日記に…日記に…!」 「アイン君…いじめないであげて…」 「マスターも!もうあんな行動は止めてくださいね!ああいう行動を貴方がするくらいだったら僕がします」 さすがにサフィールが哀れになって突っ込んだ私の一言にも素早い切り返しだねアイン君。 「……………善処します。だからそろそろ私のこと、名前で呼んでねアイン君…地味に凹むから、なんだか距離ができたように感じるよ…私的に」 「泣きまねはやめてくださいマスター、貴方いい年なんですから」 両手で顔を覆いしくしくと泣きまねをした私には辛辣な一言でおしまいなのか…。お父さんは寂しいぞアイン君。 「まだ未成年だもん…私」 「ここでは、でしょう。まったく…」 「何の話ですかぁ!私を置いて会話しないでくださいぃいい!」 「「あ、忘れてた」」 結局最後放っておかれたサフィールが、泣いた。 ジェイド弟で小話。主人公が大好きな三人組の旅の一コマ。 主人公には敬語、サフィにはタメ語まじりになるアインくん。 以上、どっかの湖だかに落ちて宿の部屋でお説教、なsss。 拍手有難うございました。 |
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