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das Schlafen von Löwen
(ダス シュラーフェン フォン レーヴェン)
神咲 颯凛 (o'(ェ)'o)ノ


以下、お礼小説です。

注意・今回は、8話と9話の同時UPです。もう一回拍手ボタンを押して、8話目からご覧ください。^^b




赤い月と悪魔と英雄 9




「…ちゃん……ゆーちゃん」
「う~~ん」
「こら、ゆーちゃん!何時まで寝ているの!?」
「あれ?ふああ~~、おはよ、おふくろ」
「もう、おはようじゃないわよ。今は夜よ!それに、お袋じゃなくって、ママでしょ?マ・マ!」
「はいはい・・・・って!?あれ?なんで、お袋がここに居るんだっ!?」
「パパもいるぞー」
「お、おやじぃーー!?」
「ゆーちゃん、お兄ちゃんもいるからな」
「げ、ショーリ・・」
「あ、ゆーちゃん、いまの反応はお兄ちゃん傷つくぞ!」
五月蝿い兄が何かを騒いでいるが、有利はそれどころではない。なぜ、魔界にいるはずの家族がここに居るのだろう?
それも、勢ぞろいで。


「それは、コンラッドさんから、夕食にご招待されたからよ」
おかげで、一食作らないで済んじゃったv と、喜ぶ主婦はほっといて、なんで夕食招待という話になっているんだろう?

「え?折角のお祝い事なら、皆さんにも祝って欲しいじゃないですか?」
ちょうど、夕食の準備が出来たからと顔をのぞかせたコンラートがそう答えると、有利の母・美子が手を叩いて賛同した。

「そうよ!お祝い事は、みんなで祝わなくっちゃ♪それに、ママたちだって無関係じゃないんですから」
「いわいごと??」

ハテ?祝い事ってなんだろう?有利は数秒考え込んで、ひとつだけ思い当たる事が有った。


そうか!おれの悪魔復帰祝いか!


それで、今日の夕飯はご馳走なんだと、有利は一人合点がいった。
夕食のテーブルに並ぶ、数々の料理に上等の酒に舌鼓を打ちながら、久々の家族の会話を楽しむ。
なにやら、親父と兄貴の酒のペースが速いようだが、久々に息子(弟)にあえて、嬉しくて箍が外れているのだろう。
そんな気がなくとも、有利が家族に心配をかけたのは事実なのだから。

それがわかっていて、コンラートは、有利の家族を呼んでくれたのだろう。その上、有利の悪魔復帰をこうして祝って
くれるなんて、コンラッドってばホントいい奴なのだろう。

有利の瞳に、美子と楽しそうに歓談するコンラートがうつる。爽やかな微笑みに、アルコールでうっすら染まった目元が、
色気を加味して形容しがたい。すると、有利の視線に気がついたのか、コンラートがこちらを見てニッコリと微笑んだ。

うっ(//o//)

思えば、人間界にきてから、有利にずっと向けられていたその笑み。それとももうすぐお別れである。有利は悪魔に
戻って魔界に帰るのだ。それも、コンラートの魂をとって・・・。魂を取れば、当然ではあるがその人間は死んでしまう。

もう、有利を見て微笑んではくれない。
もう、有利とたわいもないおしゃべりをしてはくれない。
もう、ユーリと名前を呼んんではくれない。
もう・・・…。


すると、再びツキリと胸が痛んだ。


カタン、突然俯くと黙ってしまった有利に、兄の勝利がどうしたのかと問いかけてくる。だけれど、それにすら有利は
反応する事もない。それに、尻尾はだらんと項垂れ、耳はぺしょりと頭にこびりついている。

「ユーリ?どうかしたの?」
コンラートが、優しい声で問いかけてくる。だけれど、有利はどう答えていいのかわからない。だって、自分は
もうすぐ彼から魂を奪うのだ。そうすれば、彼は永遠に失われてしまう。

それなのに、どうしてそんなに自分に優しくしてくれるのだろう?

ツキツキと痛む胸に、黒猫はどうしていいかわからない。
そんなユーリの様子に、コンラートは心配そうに抱き上げて、背中をそっとなでる。やさしい彼の大きな手、これは
最初から気に入っていた。だが、この手ともお別れなのだ。

しんみりと項垂れる子猫の様子に、コンラートはどうしたものかと考えていると、ポン!と肩に手が置かれる。
ふりむけば、そこには満面の笑みの有利の母・美子がいた。
そして、心配ないとコンラートに断言する。

って、なんでお袋が断言するのさ?
と、心の中で条件反射で突っ込んだ有利であったが、その疑問を口にする事は叶わなかった。何故って?



「コンラートさん大丈夫よ。ほら、コレは所謂マリッジブルーってやつだから」

という、母親の台詞に、有利の思考がピキリ・・と、止まったからだ。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?

なんだろう?いま、聞きなれない単語を聞かされたような??

「まりっじぶるーになるくらいなら、ゆーちゃん!けっこんなんてやめて、まかいにかえろ~~」

勝利、お前飲みすぎだ。ろれつが回ってないぞ?

「ま、しょーちゃんったら、いい加減、弟離れしなさい。それより、コンラッドさんとゆーちゃんに、ママからお願いがるの?」
「お願い??」
「お願いですか?おれにできることならいいですよ」

「きゃあ!いいのね?もちろん、コンラッドさん達にしか出来ないわv」

ぞわり・・あれれ、今、な~んかきたぞ?嫌な予感がする。

「二人に、着て欲しいの衣装があるの!!」


いしょう???








「きゃああ!さすが、私の子供ね!よく似合うわvv」

美子が呪文を唱えると、実にあっさりと黒猫から本来の姿へと戻された有利は、今、何故だか純黒のウェディング
ドレスを着ている。その姿を見て、はしゃぐ母親に、『嫁さんの若いころそっくりだ』と感心する父親・・それに、
『ゆーちゃん、きれいだよ』とむせび泣く兄・・わけがわからん。

なにより、訳がわからないのは、隣に立って自分を褒めちぎる男だ。

「ユーリ、世界一綺麗な花嫁さんだよv」

という男の方は、白のタキシード。着る人を選ぶだろう優美な刺繍を施されたシンプルなその服を、彼は自然に
着こなしていた。

「なんで、アンタはタキシードでおれがドレス」
ついつい恨みがましく言ってしまうと、それはもちろん!っと、ニッコリ笑顔が返された。

ぞぞくぞくぅぅ~~ぅぅ!?

キタキタキターー!!背すじにぞくぅっと、お袋の時をとは比べようもないほどの悪寒がっ!!


「それはもちろん、有利が俺のお嫁さんだからかな?」

・・・・・・・・・・・・よめ??ってだれが???

「そうよ~、ゆーちゃんったら、こぉぉんなかっこいい花婿さんGETしたのに、結婚式をしないだなんて、せめてドレス姿
くらいママに見せてくれなくちゃvv」


・・・・・・・・・・・・・・・・むこ??だれが??


「すみません、先に入籍だけしてしまって、でも、式はいずれ落ち着いたら挙げますので、その時はお色直しも
一杯しますので、ジェニファーは思う存っっ分!有利のドレスを選んでくださいね^^b」
「きゃああん!流石はコンラッドさん。たのしみにしているわ♪」


おいおい、コンラッド!てめぇ、おれをお袋の人身御供に差し出したなっ!?って、まてまておれ!問題は
そこじゃない!いや、ドレスも十分に問題だけどさ!今は、その前にもっと重要な事を聞きませんでしたかー?
そうそう、今コンラッドの台詞に、聞き捨てならない単語がゴザイマシタのことよーー!?

にゅうせきをしたとか何とか?・・ニュウセキ??乳石・・・いやちがうな、NEW?にゅう・入・・入・籍・・入籍ぃぃ~~~!!!!!???


「まぁ、兄弟で結婚の順番が逆になっちゃったけど、ゆーちゃんが結婚してくれて良かったわw」
「次は初孫だな」
おいおい親父。男に孫は産めないって・・・
「ハッ!そーだ、ゆーちゃんには、ゆーちゃんそっくりの女の子を産んでもらって!姪こそはどこにも嫁に行かせん!!!」

おいおい馬鹿兄貴、だから男は子供が産めない・・って言うかその前にっっ!!!

「入籍って、いつ!?」
「いやだな~、さっき提出してくるって言って出かけたじゃないですか?」
驚愕の事実に、有利は思わず叫んだ!すると、そんな有利の叫びも、そよ風程度にしか思っていないだろう男は、
ほら!といって見せたのは、先程有利が書いた領収書。

「のようなモノの、コピーです。婚姻届といえば、お互いをお互いのものとする契約書&領収書みたいなものですし、
いや~有利が俺の全てを欲しいって言うし、ホラ!俺はもう有利を(使い魔として)いただいてしまっているので、
確かに俺だけ有利の全てを貰ってはフェアじゃないですよね?あ、ちなみに本物の婚姻届は、もう役所に提出
しましたのでご安心を♪」

え?なにそれ、領収書じゃないのそれ?ええ?婚姻届って??・・・・うん?こんいん?


「婚姻とどけぇぇぇえええええええええええ?????」


開いた口が塞がらないとは、こういうことを言うのかと、有利はどこかズレタ思考の角で思った。
実際に、有利の口はぽかーんと開かれたまま、閉じる事を忘れている。

「まぁ、これで人間は結婚ができるのね?あら、ホント、ゆーちゃんとコンラッドさんの名前が仲良く並んで」
「どれどれ、俺にも見せてくれよコンラッド。前に見た時は、まだ白紙だったからな」
「いいですよ、あ、証人の署名ありがとうございます。おかげで、スムーズに手続きが済みました」
「いのよ。息子の婚姻の証人になれるなんて、私たちもうれしいもの」
「そういっていただけると、俺も嬉しいです」


その言葉に、有利は婚姻届(写し)を両親からもぎ取ってよく見た。そこには、コンラートと自分の署名、それに
両親の署名が二つ仲良く並んでいるではないか?察するに、これが証人欄なのか?

何故察するのかというと?実は有利、人間界の言葉の読み書きは、まったくというほど出来なかったのだ。

「お、おふくろ・・コレはどういうことだ?」
「なにが?」
「なんで、婚姻届に、お袋達の署名があるのかって事だよ!?」
「あら、だって、この前来た時に、コンラッドさんに頼まれたんですもの」
「やはり、証人には有利を育ててくださった御両親が相応しいですよねv(^^)」

い、一体イツの間にっ!?

呆然と、事の次第についていけてない息子をよそに、両親と花婿の会話は弾んでゆく。

「そういえば、コンラッドさん一人で出かけちゃったの?結婚届は、二人で出しに行かなかったの?」
「あぁ、だから、ゆーちゃんがご機嫌ナナメ何だな?まぁ、それも仕方ないだろう、なにせ、ゆーちゃんの姿は
猫だったんだし、猫と結婚するって言ったら流石におかしいだろう?な?」
「あらやだ、確かにそうね♪」


マテや!!親父!?そもそも、悪魔と結婚すると言うのは、おかしくないのかよ!?


というか、ソノ前におれは男だ!!


いいかげん、息子の性別をおぼえやがれぇぇーーー!!!


「「「何言っているの(んです)?そんなの最初から知っているわよ(いますよ)」」」





なお、悪いわあああーーーー!




「あら、ゆーちゃんってば、元気になったのね?じゃ、早速、お写真撮っちゃいましょうvv」
「うわぁ、お袋、引っ張るな」
「お袋、カメラセットしたぞ、早く並んで」
「この、馬鹿兄貴!」
「ほら、ゆーちゃん、コンラッドと真ん中に並ぶんだぞ」
「親父まで!」
「あ、ユーリちょっと失礼」
ひょい
「うわあああ!おろせコンラッド!」
「きゃぁ、お姫様抱っこね」
「ほら、シャッター切るぞ!」

だれが、こんな姿で写真なんか撮られるか!?見事な連係プレイを見せる渋谷家とコンラッドの怒涛の攻撃を
必死で一人逆らう有利であったが、どんなにジタバタ暴れても、そもそもがコンラートの腕によって床から離されて
お姫様抱っこをされているのである。不安定な体勢でそう反抗が出来るわけもなく。しっかりと膝裏と腰をホールド
されてしまっている。その上――

「あ、有利。暴れちゃダメだよ」
そういうと、コンラートは塞がっている両腕の変わりに、顔を寄せてきた。

ちゅv(←もちろんキスは唇狙い)

ぴきっ…(←でもって、固まった有利さん)

パシャ!!(←狙ったかのように落とされるシャッター)




「きゃっvv ラブラブね」
「ほーやるな、二人とも!パパは当てられちゃったよ」
「うー、ゆーちゃん。おめでとう、悔しいが綺麗だよ(TT)」





「ユーリ、末永く宜しくね!」

「だましたな、この悪魔ぁぁああ!!」








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2010年5月27日UP

長らくお待たせしました。コレにて完結です。うん、まっくろv ナニガとは言わないが・・w

未成年の結婚って、両親の承諾が必要なんですが、原作は16で成人という事であわせてみた。
なので、渋谷夫妻には結婚の証人のサインをしてもらいました。そこは、日本とは違う国って事で。
では、長々とお付き合いくださってありがとうございます。 次のシリーズでお会いしましょう。(o'(ェ)'o)/~マタネェ






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