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   少しだけ、と甘えて繋いだ手。夜はもう冷える季節にお互いの体温は心地良く、駅から二人で住む家へと帰る道のりで、繋がりが解かれることは無かった。リョーマがいたずらするようにキュッと指に力を入れれば、海堂はひっそりと爪を立てて返した。人気の無い夜の道を、ふたりは無言で歩く。お互いの熱が行き来する掌はしだいに汗ばみ、肌を密着させる。水分を空気に晒して冷えないよう、リョーマが寒がりを言い訳に繋がりを固くする。少し濡れたお互いの掌が隙間無く重なり、海堂は俯き、リョーマは少し足取りを早くした。海堂をひっぱるように歩きだす。けれど海堂は不機嫌になることなく、年下の恋人に付いて歩く。こんな寒い夜は掌だけでなくぴったりと重なってしまいたいと思ったのは、海堂も同じだった。
   

10年後リョ海(テニス)の冬の夜でした。
拍手ありがとうございましたv
20071117



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