「リース!」 少年がにっこり笑って何かを少女に投げた。 「え?きゃ!」 驚きながらもしっかりと掴んだ少女は少年から投げられたものをまじまじと見る。 「・・・果物?」 呟いた独り言は少年に届いたらしい。少年は可愛らしく首をかしげた。 「リース、見たことない?」 「はい。初めて見ました。食べれるんですか?」 それを色んな角度で見ながら少女が聞くと、少年は少女の手から果物を取り上げて、器用に二つに割る。 「赤いとこじゃなくて白い透明なとこ食べる。美味しいよ?」 そう言ってもう一度中身の入ったほうだけを少女に渡し、自分もひとつ口に入れた。 それを見た少女は少年に習ってその白い果実をひとつ口に入れてみる。 「甘ぁい・・・。」 口の中に癖のないすっきりした甘味が広がる。 美味しそうに微笑む少女を見た少年は嬉しそうに笑った。 「リース、元気でた?」 「え?」 少年は、すれ違いで弟を取り戻せなかった少女をどうにか元気づけようと思ったらしい。 「甘いもの食べると、ちょっと幸せになる。だからリース元気になるかなって。」 そう屈託なく微笑む少年に少女は嬉しそうに微笑んだ。 「ありがとう、ケヴィン。エリオットを取り戻せなかったのは悔しいけど、まだチャンスはあるわよね。あきらめる前に気づかせてくれて、ほんとうにありがとう。」 そう微笑んだ彼女を見て少年の胸がどくんと動いたのはまた別の話。 |
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