拍手、ありがとう御座いました!!!
拍手小説は現在PPGとPPGZで、全六種類です!(5/6)


Re: Generation


 破壊の悲しみは再生の喜びでもある。
 壊れた物を見て人は嘆き悲しむ。
「あ、壊れちゃった」
 少女バブルスは、壊れた玩具を眺めて、呟いた。
 悲しみがこみ上げてくる。それは何故か、考えた事も無い。バブルスは長女のブロッサムと違い物事を今の段階では考えない。バターカップの様に前だけを見ることは出来ない。弱いのである。
 壊れた玩具を持ち上げ、自らの生みの親の場へと急ぐ。
「博士〜、こわれちゃったのー」
 生みの親は目に付けていた化学実験用のサングラスを外し、手を洗い、雑菌した後にバブルスを抱き上げた。その手には壊れた玩具がある。
「あー、これは……うんそうだね、僕は科学者だからこういうのは解らないけど……玩具の科学者なら、わかるかもね」
 博士はそう言った。
 そのままバブルスは博士と共に玩具専門の店へと足を踏み入れた。

 結果から言うと玩具は直った。
 修復され、使えなくなった部品は取り替えられ、元に戻る。
「よかった」
 笑顔で修復された玩具を抱える。その笑顔は博士の目には喜ばしく映る。
「……バブルス、その笑顔をずっと忘れないようにね」
「?」
「人は年を取ると本心から笑えなくなる。嘘の笑顔を使うようになるんだ。年をとりすぎたときに、初めて本心の笑顔をすることがまた出来る」
 バブルスにはそれが何なのか解らなかった。いずれわかるよ、と博士は言う。
「今日みたいに、玩具が壊れたとき、バブルスは如何思った?」
 問うた。
「……悲しかった」
「そうだろう。人はね、大切な何かが壊れると悲しいんだ。
 だけどね、バブルス。今はどうだい?」
「……悲しくない。嬉しい」
 微笑を作り、バブルスは答えた。その反応に博士は頷く。
「だからバブルス、君はそんな人になって欲しい。人が悲しみ、そしてまた笑顔になるとき……その本の少しの虚空の間を埋める笑顔になって欲しいんだよ、僕はね」
 その事も解らなかった。ブロッサムと違い、バブルスはそれを理解する事が出来なかった。自らに理想を寄せる博士……だがそれを理解する事は今のバブルスには出来ない。
「うん」
 でも頷いた。
 たとえわかっていないとしても、何時か解る時が来る。
 その時、バブルスは大人になれるであろう。
 時は進む。壊れたものを修復しながら、修復した時をまた壊しながら……



     /了・バブルス編



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。