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お礼はスザルルの小話になります。

















「君の声が凄く好きだよ」


唐突に吐かれた言葉だった。前の音も持たないそれは一瞬宙に浮いて直ぐに空気に溶ける。ルルーシュは目の前に座るスザクに視線だけを向けた。それに今まで俯いていたスザクが困ったように笑うのが分かって、ああ何時もの彼だな。と安心するのと同時に其れで尚更先の言葉が宙に浮く。夕暮れも押し迫った生徒会室は差し込む橙に染まって二人を照らしていた。
ルルーシュがスザク、と名前を呼ぶより早くスザクが口を開く。


「ナナリーを呼ぶ声ときの優しい声や皆と居るときの飾らない声とか、そういうのを聞くたびに」


ぽつぽつと零されるスザクの声は穏やかでルルーシュの耳に心地良い。また視線を下げ手先をクルクルと落ち着き無く弄る様子に彼は照れているのかもしれないと思った。聞いているルルーシュも本当を言うと少し恥ずかしい。母の面影を残す顔を褒められたことはあっても声に賛辞を貰ったのは初めてなのだ。特別な音など無い自分の声を優しいと言うその言葉にくすぐったい気持ちになる。しかしそれは決して嫌な気持ちではない。


「とても、とても。僕は君のことが好きだなと思うよ」


言い切り満足したかのように顔を上げたスザクは少し頬を染め、それでもどこか晴れ晴れとした顔をしていた。そのまま腰を上げルルーシュとのもともと数歩しかない距離を簡単に詰める。そして未だ椅子に座ったままのルルーシュの掌を取り、スザクは彼が状況を理解する前に口付けた。膝を折り貴婦人の手をとるようにしてしたキスは騎士の忠誠を誓うものにも似ていたかもしれない。
スザクが手を離し立ち上がってもルルーシュはまだ呆けたままだった。この幼馴染は一体何をしたんだろう。何を言ったんだろうか。


「君のことが好きだよ。とても大事でたまらない」


だから、とスザクがゆっくりルルーシュを腕の中に収める。感じる温もりと近づいてくる緑色の優しい瞳は確かに解っているのに逃げる、という選択肢は不思議と生まれない。ただスザクの言葉を待っている。


「だから君のこと、僕が護れたらいいなと思ったんだ」


我侭でごめんね、最後に溶けるように落ちたその声が、なぜか泣きそうに聞こえてルルーシュも応える様にスザクの背に腕を回した。彼は涙もろいのだ。けれど自分は彼が最も喜ぶ答えを今知った。そしてルルーシュもこの幼馴染が大切だ。だから。簡単。


「スザク」
「…うん?」
「俺だってお前が大事でたまらない」


だから、笑えよ。呆けた彼に笑いかけた。彼の表情は見る間に緩み幸福を象る。そして触れ合った唇から







我慢しきれずに零れるのは、
明るい笑い声でありますように




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