Sクラス的・日常



「おい透治、鋏、今日の放課後どうする?」

「ひっ!?」


昼休み、教室で惣菜パンを片手に尋ねた神堂皇子(しんどうこうじ)は飛んできたクナイを軽くかわしながら尋ねた。
その問いに、涼しい顔で飛んでくるゴム製の銃弾をファイルで防ぎながら、ニコニコと聡兎透治(さとうすなお)が答える。


「せっかくテストが終わったところだし、のびのび遊びたいね。いつものゲーセン行く?」

「お、いいな、それ!」

「あ、あのっ!!」


透治の提案に二カッと笑った皇子に続いて、先ほどから飛んでくる物にガタガタ怯えながら身を縮めていた鏡家鋏(かがみやきょう)が思い切って発言する。


「二人は何で、こんな中で冷静に話出来るの!?」


男子にしてはやや高めの声を持つ鋏は、半ば悲鳴を上げるように尋ねる。

二人の背後では冗談なのか本気なのか、言い争いながらあらゆる物が飛び交い、その下で皆平然と昼食を取っていた。

振り返ってその光景を見た皇子はうーん、と少し唸って、


「慣れろ」


ぽん、と鋏の肩を叩いて哀愁漂う笑顔を浮かべた。

もの悲しくて美しいその笑顔に、しかし鋏は絶望的な表情を浮かべる。

そんな鋏にニコニコと、透治ははさみを渡して微笑んだ。


「これがあれば百人力でしょ?」

「…………ガタガタうるせぇんだよてめぇら!!」


はさみを持った途端、鋭い眼光で怒鳴り上げた鋏は乱闘の中に飛び込んでいった。


「……ホントにアイツ、はさみ持つと性格変わるよな」

「これも慣れだよ、皇子」


乱闘を更に拡大させる鋏を見てしみじみ呟く皇子に、透治は涼しい顔で微笑みながら昼食に専念した。






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