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以下、お礼の真島・桐生・ちょっぴり冴島SS






「欲のない奴なんや。」
真島の兄さんはそういってグラスの中の氷をカラカラと鳴らした。
貸し切りのニューセレナ。
真島の兄さんは後ろを向くとソファで横になっている冴島に目をやった。
三人で飲んでいたのだが「すまんが少し横にならせてもらうわ。」と、そう言って早々にグラスを置いた。
すっと落ちるように眠ってしまった冴島に毛布をかけてやったのは真島の兄さん。
「靖子ちゃんの事、こたえとるんやな。」
冴島の寝顔を見ながら兄さんはそう呟いた。
兄さんが靖子さんの死をしったのは俺達がミレニアムタワーの屋上で全てのケリをつけた後、釈放されて
すぐだった。
知らされた時、真島の兄さんは絶句して言葉を失ったあとただ一言「なんでや。」とこぼした。
靖子さんは兄さんにとっても妹のような女性で、冴島に変わって守ろうとしていた。
「ええ、兄妹やったん。」
「兄さんは靖子さんと冴島が本当の兄弟じゃない事は知ってたんですか?」
「知っとったよ。二人見とったら血の繋がりっちゅーもんがどれ程のもんかと思たわ。桐生ちゃんやて
分かるやろ?」
「ええ。」
風間の親っさん、錦に由美。俺の何よりも大事だった人達とは誰一人血の繋がりはなかった。
でも、俺の家族だった。
そして遥やアサガオの子供達も。
「こいつの人生、靖子ちゃんの為やった。親からもろた金だって殆どためとった。こんな商売しとったら
何時何があってもおかしゅうないから、自分がおらんようになっても靖子ちゃんが困らんようにって。
良く冷やかしたもんや。靖子ちゃんが嫁に行く時は大変やろなって。」
真島の兄さんは氷が溶けて少し薄まったウィスキーを煽った。
「ええ兄妹やったんや・・・ほんまに・・・。」
「・・・・。」
この人には珍しい感傷だった。
それだけ兄さん自身も靖子さんの死が堪えているのだろう。
「全部親と靖子ちゃんの為。自分自身の野心なんてろくに持たん奴なのにな・・・・。」
そんな冴島が東城会直系の組長になる。
極道の多くがそこにある事を望む高みの一つに。
冴島自身、自分がそうなる事を望んでいたかどうか。
彼の望みは親である笹井がそうなることであり、靖子さんの幸せだった。
そのどちらも失って。
けれど浜崎から東城会の先行きを託された。
大吾から東城会を支えて欲しいと請われた。
だから冴島はここにいる。
今だ生々しい喪失という傷を晒したまま。
「野心もった奴はみんな自爆しよった・・・望まん奴程望まれる。」
皮肉やな。
そう言った後、めっきり口数がへった真島の兄さんと二人、明け方近くまで杯を重た。



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