春になる(佐藤×雪平←三上) 雪平、と誰かに呼びかけられる。 振り向くと三上が居た。 「薫ちゃん、久しぶり」 夏見は笑顔を見せると、そう声をかける。 最近の会議室に三上の姿はない。 三上が参加することを小久保は特に反対しているわけではないのだけれど、彼が当たり前のように居れたのは、山路がかなりの無理をしていてくれたかららしい。 そういうことはなくなってから気がつくものなのだ。 だから会えないわけじゃないけれど、こうして話すのは本当に久しぶりだった。 久しぶりだというのに二人の話題は今扱っている事件のことで、思わず夏見は苦笑をした。 「被害者のことなんだけれど、雪平は」 「薫ちゃん」 夏見は彼の名前を呼ぶ。 「なに?」 「私は雪平じゃないよ」 一瞬、三上は不思議そうな顔をする。 それから思い当たったように。 「あ」 と声を出した。 夏見は微笑んだまま。三上は気まずそうな顔のまま。 「おめでとう、だよね?」 訊ねるように聞く。 「他になにがあるっていうのよ」 「いや、あの事件のことがあったから、もっと悩んだりしたんじゃないかと」 「私は幸せだよ」 佐藤夏見は笑ってみせる。 「こういうのが、幸せっていうんだよ。きっと」 spで三上が普通にいることに喜びを感じた。 小久保。口ではああ言ってるものの追い出したりはしないんだよね。 拍手ありがとうございました! 返事が必要な方は「*」をコメントの後ろにつけてください。 なにか読みたいコンビ、CP、シチュエーション等がありましたら、一言コメントからどうぞ。 インスパイアされたら、書くかもしれません。 (拍手お礼全一種) |
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