web拍手送信完了!
「今日は暑いなあ〜」
パタパタと仰ぐ瀬戸口と、こんな時にもきちんと正座して木かげの瀬戸口のとなりにいる壬生屋、そしてののみがちょこんとすわっていた。
「なにか冷たいものでもおのみになりますか?」
と壬生屋が聞けば、ののみも
「ののみも紅茶つめたくしてのみたいな♪みおちゃん・・・いっしょに よういしますか?」
くりっとした目が涼を求めているのを感じて、瀬戸口はこたえた。
「じゃあお嬢さん方・・・これから3人で一緒に食堂兼調理場でアイスティーでもどうかな?」
「ええ、そういたしましょう」
「ののみも、さんせいなの」

さて、3人で仲良く食堂兼調理場に入ると、なにやら背を向けてしゃがんでいる人がいる。
丁度冷蔵庫をのぞきこみながら振り向くと
「おー?誰か来たんか?」とふりむいた・・・声をかけたのは中村だった。
冷蔵庫の前で作業をしてた中村は3人をみつけると笑顔で答えた。
「その分だと暑さにばててると?」
「ええ実は・・・」
「ああ・・・そうだな」
「ののみも あついのよ」
と三人それぞれが答えた。
「今日はとくに暑いとね・・・。」
そういいながら冷蔵庫を閉じる。
「えっとね、みっちゃんはなにを しているのですか?」
「ははは・・・まあ、今日は誕生日の祝いもかねてアイスをつくってたとよ」
「そうなの?」
そう言って不思議そうに見上げるののみに、にっこり微笑む中村。
「あ、よかったらアイス試食すっとね?」
「いいのー?」
ののみが問えば、
「3人の感想きいて、ジャムの種類きめったい」
と中村は答えた。
「あら、わたくしたちも?」
「涼をもとめてきた甲斐があったな」
とつられて微笑むふたり。
こうしてアイスを食べる幸運に出会えた3人はそれぞれとろけるような笑顔をしながらアイスを食べた。
「へー、やるもんだな〜中村。かんきつ系のジャムか・・・」
「それはオレンジベースたい」
「ええ、本当においしいですわ、このジャムもあっていますわね」
「そっちはストロベリーとブルーベリー、ラズベリーの混合たい」
「えへへ、ののみチョコかけたのもおいしいのよ」
「それは特別あまかとね〜」

おおむね好評な評価に中村は笑顔を浮かべていった。
「さあて、3人とも今日は一緒にお祝いの場所にいって手伝ってくんなっせ」
「あそこへ行くのか?」
「おいわいするのよ〜ののみもお歌れんしゅうしたの」
「きっと驚かれますね」
そう言って笑いあう5121メンバー。
もうすぐ始まる誕生会。おめでとうの言葉が皆から贈られるほんの1時間前の事でした。

さて、試食もすみアイスをしまおうと、立ち上がりかけたそのとき、
冷蔵庫へ向かおうと立った中村の袖を小さな手がひっぱり、動きをとめる。。
「はーい、みっちゃんも、あ・じ・み・なの、あーんして」
一口すくったアイスをののみが「食べて欲しいの」といわんばかりに構えている。
「そぎゃんせんでも・・・あ〜」
困ったように瀬戸口と壬生屋をみる中村。
「ののみがしたいの・・・だから、あーん」
「あ・・・」
「うふふ、おいしい?みっちゃん」
 コクコクと首を縦に振る中村。
「甘いだろうな」
「そうですわね」
と瀬戸口と壬生屋の声が聞こえる。
アイスを手に満足げなののみの笑顔が
中村にはアイスよりも甘く感じた夏の午後なのでした。
20070702



メッセージやあしあとをどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。