ありがとうございまーーっす!!
お返事はブログでいたしますv




お礼というものを作ってみようと想いました。
去年の11月に出しそびれたお話なのですが…
少し長かったので3つにわけてあります。よろしければどうぞ!

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11月中旬というかもうほぼ下旬。
仕事を終えてもこれといった用事は無い。
地下鉄のホームに辿り着くまでに食品街を通り抜ける。
途中、何度も何度も声をかけられた。
こうやって一人歩く30代の男なんて、格好の餌食なんだろう。

「いらっしゃいませー」

惣菜屋の類だ。
これから帰って一人寂しく夕食を摂るのだと、そう思われているのだろう。
確かに美味そうな惣菜が並んでいる。
3パック500円とか本当に得なのかよ。
まあ自分で全部材料揃えて作るよりは安上がりなのかもしれないが。



今日は珍しくほぼ定時に帰れた。
ここ最近はずっと10時過ぎまで残業だ。
そんな日は騒々しい食品街もみんなシャッターを下ろし眠っている。
夕方の様子が嘘のように静まりかえるその通路には、まだ遊び足りない学生の声だけが大きく響く。
だから、賑やかな店の間をくぐり抜けるのも随分とご無沙汰だった。

丁度腹の空く時間帯に、胃袋を直撃するような香ばしい匂いが漂う。
改札の前で定期を出すまで鞄を開ける気すら無かったはずが、いつの間にか財布まで開く気になっているような。
それほどこの空間は活気に溢れていた。


「いらっしゃいませ。」

さっきまでのパートのおばさんの声とは違った、上品な声が耳に届く。
ふと見渡すと周りは菓子屋ばかりが並んでいる。
胃袋の欲望と格闘しているうちに惣菜屋の通りを抜けていたらしい。

右側を見た所でうっかり、その上品な声の持ち主であろう女と目が合った。
安いよー、とも叫ばないその女は、何ともないと言った顔で微笑んだ。
つい、足を止めてしまった。


立ち止まってしまった手前、バツが悪くてショーケースを覗き込む。
どれもこれも甘ったるそうで欲しいと思う物が見つからない。
別に、俺が食わなければいい話だが。

「お土産ですか?」

突然声をかけられ顔を上げる。
俺はどっからどう見ても妻子持ちとは思えない形をしているはずだが。
何となく気分が良くなり、今日発売だという菓子を2つ頼んだ。
が、その女は発売日だからサービスだと言い3つを袋に詰め差し出してくる。
もらえるモンはもらっとけ。適当に礼を言ってから、また改札口を目指し歩き始めた。

帰りの地下鉄には夕食であろう弁当を持った人が何人も乗っていた。
俺も持ってた方が似合うんじゃないのかってくらいだが。
買って帰る必要が無いのだから別に良い。
だからって家に帰ってからちまちま作り始めるわけでもない。
うちでは、可愛い可愛いあいつがみそ汁作って待ってるはずだから。


続きます…



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。