待っててなんてやらない。
初めからわかっていたわね。それぞれ生きる場所が違うあたしたち。
出逢ったことが不思議なくらいかもしれない。
ちっぽけだけど綺麗だったあの石の、文字通り運命の導きだったと言ってもいいけれど。
それでもあたし、この生き方を変える気なんてないの。
あいつもきっと同じだわ。
何故ついていかないのかって?
ずっと待ってるくせにって?
それは違う。きっとあいつもわかってる。
踊りはあたしの命そのもの。旅があたしの住む世界。
…だから。
あの瞳と潮の匂いを忘れる気なんてないけれど。
もう他の男なんか愛する気もないけれど。
だけどあたしはどこまでも自由。
逢いたくなったらそっちから来ればいい。
今頃どこの海を漂ってんだか知らないけど、世界中探したってあたしほどいい女がいるもんですか。
たまにふらりと現れる、あいつを待ってるわけじゃない。
向こうがあたしを追ってくるの。