真っ白なバスタブはきちんと猫足になっていていて二人向かいあって入れる大きさだった。
泡風呂にしようヨ!と大騒ぎした神楽は湯船に浸かりながらしゃぼん玉を大量生産している。お陰で浴室は泡だらけだ。
喜々としてストローを吹きまくり、大小様々な泡玉を見て歓声をあげているお姫様は一緒に浴槽に入っている自分があんまり視界に入っていないようだった。
興奮が収まるまで待ってやることにした。
熱すぎず、温すぎず、湯加減はちょうど良い。ここのところ忙しかったから風呂にのんびり入るのも久しぶりだ。
バスタブの縁に頬杖をついて、瞼を閉じた。
「ちょ、そーご見て!すごくね?」
神楽の言葉に目を開けて視線を少しあげると神楽の顔と同じくらいの大きさのしゃぼん玉がふわふわと浮いていた。
「おーでけえ。」
そのしゃぼん玉はゆっくりと漂い、浴室の天井にぶつかって弾けた。
それを見届けると神楽はストローとしゃぼんだま液を床においた。
ようやく飽きたらしい。
次は湯に浮かぶ泡を手にとって吹き始めた。
「チャイナ。」
「ん?」
「鼻にすげー泡ついてんぞ」
「まじでか」
泡のついた手で顔を拭うので取れるどころか泡が増えていた。
「バカだなお前」
顔をこっちへ出せと、手で呼ぶと素直に神楽は顔を突き出した。
手で泡を取ってやる。
「ありがと」
「いーえ」
「お礼に後で頭洗ってやるヨ」
「お前がやると頭皮から出血しそうになるやだね。かゆい所ございませんかー?が痛い所ございませんかー?になっちまう。毛根、死滅しそうでィ」
「パピーもハゲてるから大丈夫ネ。私ハゲに耐性あるネ」
「関係ねーや」
神楽のくくり上げた髪の毛から雫が落ちる。
「ハゲでもかっこいい奴はかっこいいアル。ブルース・ウィルスとかブルース・ウィルスとかブルース・ウィルスとか」
「ブルース・ウィルス以外、思いついてねーじゃねーか」
「大丈夫、そーごが禿げても愛してあげるヨ」
「・・・それはどーも」
頬が上気しているのはのぼせているからだ。



イン ザ バスルーム



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