白く、やわらかい日差しが部屋に差し込んでいる。
その淡い光がひどく心地いい。
光の中で僕はゆっくりと瞳を開けた。
どうやら、今日の天候は晴れのようだ。


外の空気が吸いたくなって寝台から少し起き上がり、片手で窓をからりと開けた。
その瞬間、風がふんわりと吹き込んでくる。
おもわず寝台からおりて外の景色をみやると、思いのほかに朝日がまぶしい。
「・・・うん、気持ちいいなあ」
そうひとりごちて寝台を振り返ると、そこには想い人の―太公望師叔だ―の姿がある。

「今日はお主の誕生日なのであろう?
・・・・おめでとう、楊戩。」
昨夜―正確には今日―の真夜中、師叔は唐突に僕の部屋を訪れて開口一番こういった。
「わしが一番に祝ってやろうと思ってな」なんて、顔を真っ赤にして。
「ご存じだったんですね・・」
「まあ、玉鼎に聞いてな。悪いが贈り物は用意しておらんから」
なにかほしいものがあるなら明日中に用意しておくぞ、と付け加えて彼は笑った。

僕自身ですら、全く頓着していなかった誕生日だった。
仙人である身、不老不死の肉体、そして妖怪の本性をもつ自分―。
いつからか自分の出自を拒むように、誕生日を楽しみにする気持ちも消えていた。

それでも、この人は僕が生まれたことを祝ってくれる。
こんな夜更けにわざわざ僕の部屋を訪れてくれる。
その気持ちがとても暖かくて、嬉しくて、どうしようもなくて。
「ありがとう、ございます・・」
呟いた言葉に涙の色がうかんでいた気がした。

「礼などいらんよ」
そういってぷいと横を向いた顔に照れたような、決まり悪そうな表情が浮かんでいた。
「それだけだ。では、また明朝」
それだけ言って走り去ろうとする師叔の腕を思わずつかんで、そのまま抱きしめて口付けて、寝台に押し倒してしまった。

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続きますが、続きは裏要素ではないので笑 ご安心してください!




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