エスタード島北西にそびえ立つ、バーンズ王とその一族の居城、グランエスタード城。
フィッシュベルの漁師たちも時にその城下町を訪れることはあるが、城内にまで進む者は少ない。

近衛兵の導きに従い、謁見の間への階段を、一人の漁師がのぼっていた。
日に焼けた肌は、つややかに光る。堂々と力強い歩み。立派な体格をしている。
そしてその後ろを一生懸命、たどたどしい小走りでついてくる少年が一人。

「国王陛下! フィッシュベルより、ボルカノ殿と、御子息アルス殿が参られました!」

近衛兵は王の間でぴしっと敬礼を決めて客人の来訪を告げた。
バーンズ王は、格式張らない、大らかな笑顔を見せた。

王座の隣には、好奇心に目を輝かせたキーファ王子が立っていた。
この日を待っていたのだ。





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