((おお振り-島崎))



「結局、貴方はそうなのね」
「・・・何のことだよ」
「何にも。でもそれが好きだというなら、私も被害者にならないわけね」
「お前が望んだこと、じゃないのか?」
「・・・そうね。でも貴方も望んだことでしょう?」


あたしの体のラインを、いやらしく触り続ける。その行為にゾクッとする私は慎吾に溺れているのだろう。慎吾とこんな関係になったのは一月前だったと思う。好きだった彼を別れたときに、慎吾は私の前に現われた。慎吾のことは、前々から知っていた。3年の中では、河合くんと同じくらい有名だと思う。それは、野球部が甲子園に行ったからということもあるだろうけど。裏のことで凄い人だと思っていた。


***


その時は、何がなんだかわかっていなかった。それまでは幸せな毎日を送っていた、はずだった。けれど、アッチはそう思っていなかったらしい。ただ自分だけ空回りしていたのだ。別れを告げられた時は、拒否した。・・・でも、強制的に別れたのだ。


「いい加減、泣くのやめたら?」
「・・・だ、誰よ!」
「3年の島崎慎吾。・・・知ってるだろ?」
「し、知ってるわよ。その島崎くんが何のよう?」
「何の用って言われてもねぇ・・・。考えれば、あんたに用があったかな」
「後にしてくれる?話なんか聞いてられない」


あっちだって分かっているはずだ。私は泣いているのだから。なのに、容赦がなかった。ニヤッとした表情が私の瞳にうつる。


「別れたそうそう、漬け込むの悪いけど、俺と付き合わない?」
「・・・何、冗談いってんの」
「あ、勘違いしないでよ。ただあの男を忘れさせてあげるだけ」
「島崎くんに頼むほど、落ちぶれてないわ」
「うわー、ひでぇ。しょうがないけどな、あんた俺の裏の情報知ってるみたいだし」
「・・・」
「少しくらい、俺と遊んで見る気ない?」


その言葉は、ただの誘惑だった。なのに、乗ってしまった私が悪かったのだ。ふられた彼氏のこともあったし、頷いてしまった。それが、島崎くんの計画に過ぎなかった。


***


「・・・もう、この関係は嫌」
「あれ、お姫様はもう、この遊びは嫌?」
「もう、慎吾と会う気はない。それに、あの男はおかげで忘れたし」
「そう。でも、簡単に檻から出させない」
「な、何いってる、の!?貴方が言ったことじゃない!」
「俺が遊びだと思った?・・・遊びじゃないよ、あんたとは」
「・・・じゃあ、私を壊してよ、もっと」
「お姫様がお望みなら。心も躯も全て壊す」


もう、勝てないと思ったときは、もう貴方の虜。わからないことなんて、ないように、全部壊して。全て、なくなってしまえ。 なにもかも、 きえ、た。







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