スキ、キライ、スキ、キライ… ぷつっ、と音を出しては、はらりはらりと散ってゆく花びら。 彼女は一言も喋る事なく、一枚、また一枚と花びらを散らしてゆく。 床には、いったい幾つの花の花びらを散らしたのだろうか、と思うほど散らばっていた。 真っ赤な真っ赤な花びらは、まるで血だまりのように床を覆っていく。 スキ、キライ、スキ、キライ… ぽたり…と赤い雫が彼女の桃色のドレスにシミを作った。 それもそのはず、彼女は棘の付いたままの茎をギュッと握っているのだから。 ぽたりぽたり…と血がシミを作るのに比例して、花はどんどん真っ赤に染まってゆく。 ドレスには、血だまりが出来ていた。 スキ、キライ、スキ、キライ、スキ… 最後の花びらを残して、ピタリと指が止まる。そして彼女は満面の笑みで呟いた。 「大嫌い」 ぷつっ、と音をたて、花びらは床へと吸い込まれた。 「陛下、これは?」 「あぁ、花占いをしていたのよ」 「花占い?」 「えぇ、そう。フフフッ……喜びなさい、ビル。やっぱりわたくしは貴方なんて、 大嫌い、だそうよ」 にっこりと極上の笑みを浮かべながら、そう言うと、女王は部屋から出ていった。 「………その結果が出るまで、いったい幾つの花を使ったのでしょうね」 ――――――― 真っ赤なルージュ浸けて、微笑んで。 |
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