アスフレ・ヒバツナ・シュナルル・黒玄♀




「合格おめでとうございます、アスラン」

「フレイもおめでとう」



これ合格祝い、とキラとラクスそれぞれから渡されたプレゼント仕様にラッピングされた箱を、

アスランとフレイはありがとうと微笑んで受け取った。

同じデパートの包装紙だな、と思って、同じことに気づいただろう隣人と目を合わせる。

フレイは呆れたような色を目に宿していて、アスランは思わず笑いそうになって耐えた。



「凄いよね、二人共。あの大学って競争率高いっていうのにさ」

「あんたもやる気になれば行けたわよ」

「え~?」



「卒業したらもう一緒に通えませんのね」

「そうですね。それだけは残念です」

「わたくしもですわ」



そんな会話を恋人としながら。

来年からあんた達は同じ大学ね、とか。これで俺達の目を気にすることもないだろう?とか。

そんなことをフレイとアスランが思っているなんて知らずに、キラとラクスは大学が違ってもデートの時間は

ちゃんととってね、と笑っていた。

















「アスラン!」

講義が終わり、さあ帰ろうと席を立ったところで、聞き慣れた声に呼び止められた。

振り向けば思った通りの人物、フレイがいた。

後ろに友人だろうか。二人ほど女性がこちらを見ている。

「フレイ?この講義とってたのか」

「ええ。これで今日は終わりよ。あんたは?」

「俺も終わりだよ」

「なら一緒に帰りましょ」

その誘いに頷く前に、フレイが友人に手を振る。振られた女性は苦笑して、また明日ね、と連れたって教室を出て行った。

その後を追うように二人並んで教室を出る。会話は先程の講義の内容についてだ。

美男美女二人が楽しそうに話すことではないが、二人は気にしない。これがいつもの二人だ。



「そういえば、フレイ。キラと会ってるか?」

「メールはしてるわよ。あんたは?」

「俺もメールはしてるよ」

そんな会話に二人は顔を合わせて、なるほどね、と笑った。

「知ってる?恋愛にも努力は必要なのよ、アスラン・ザラ」

「なら努力を放棄した恋愛は終わるのか?フレイ・アルスター」

「そうね。終わるのかもしれないわね」

仕方ないわね、とアスランの腕に抱きついたフレイは、目を伏せてもう一度、仕方ないわね、と呟いた。

あちらが終わらせないのならば、こちらが終わらせるしかない。

好きなのに。大好き、なのに。なのにこの恋愛に対してこちらから働きかけることをやめてしまった。



「大学、離れたのがだめだったのかしらね」

「ああ…、そうなのかもしれないな」

好きだという想いだけ持って。恋人が違う人に惹かれていると知っても捨てずに持っていて。

けれど最近はもういいかなあ、と二人は思ってしまっている。

「終わらせましょうか」

「いつがいいかな」

大学を出て、赤信号に止まる。

足を止めた二人は顔を見合わせて、そうしてどちらともなく口づけた。

青信号に走る車の隙間から見えた向こう側、驚いたように目を見開いた互いの恋人を視界の隅に、二人は目を閉じた。



終わりのときは、酷くあっさり






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