それはふと感じた事。

「偏見かもしれないけど、アメリカはコーヒー、イギリスは紅茶ってイメージがあるなぁ」

それはいつものお茶の時間。となりで食器棚からティーカップセットを取り出す麻衣が「それわかるかも」と頷いた。

「まあ私はどっちも好きだけどね」
「うーん私はまだブラックコーヒーとか飲めないや」

でも出されたら飲んじゃうけどねと麻衣は笑った。

「そういえばナルも出されたもの、大抵飲むよね」

案外舌音痴なのかしら。この前茶葉を切らして急いでコンビニでティバックのお茶を買ったけど文句ひとつ言わず飲んでたし。

「ああでも日本茶は結構好きくないみたい」
「日本人のくせして?」

まあ日本人の中でも日本茶が苦手な人もいるだろうけど。

「ああ後、結構前にお茶葉きらしちゃってティバックの買ってそれだしたら『君はこんなまずい茶を出す事しか出来ないのか』って延々と嫌味を言われたよぉ」

まったく嫌になっちゃう、と麻衣は頬を膨らませた。
そう言いながらもカップをお湯であたためる。…いわゆる美味しいお茶の淹れ方だ。

「あら、でもそれ麻衣が丁度テスト期間中の時に私もやらかしちゃったけど、何も言われなかったよ?」
「えーっ!何それ不公平!なんでなんで?!」
「なんでって言われても私も困るよ。…たまたま喉がすごぉく渇いててなんでも良かったんじゃない?」
「…でもそれでもあたしだったら絶対に嫌味の一つや二つ言われるよ!」

ずるぅいと麻衣は拗ねてしまった。
困ったなぁと思いつつも、お湯で茶葉がふわりふわりと開くのを待った。

「……でもホント不思議」
「ナルの主成分は不思議で出来てるじゃない」
「それもそうね!」

二人してくすくすしているとお茶の方も丁度いい具合になった。
いつの間にか機嫌をなおした麻衣が鼻歌交じりでティーカップに注ぐ。
譬えは悪いが、「三歩歩けば忘れるニワトリ」のようだ。そこが可愛らしいのだが。

「さぁて気まぐれ所長様にお茶の時間だと告げに行きますか」
「仕事バカだからこうやってお茶の時間とか言わないとそのまま一日が終わっちゃいそうだよね」

そうしてまたくすくすと笑った。
それはいつものお茶の時間。
でもちょっとのナゾを残した。
それを知るのは、神様とナル様だけ……

(ゴーストハント)



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