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(刀剣乱舞)


この本丸では、手合わせの相手を決めるのは大抵くじ引きであった。
山姥切国広が筒に入れられた細い木を一本引くと、先端には数字の3が記入してある。
なんだかとても3が不吉な数字に思えたが、気にせず貼り出された手合わせの相手を確認していく。
3と書かれた数字の横には、自分と似たような名前が書かれていた。少し顔をしかめた国広の背後で声がする。

「今回の手合わせの相手、誰かと思えば偽物君じゃないか。」

この独特な呼び方・・・。顔をしかめたまま振り返ってみると、向こうもうんざりしたような顔をしていた。

「その呼び方はやめてくれ、山姥切長義。」
「本歌・・・と呼んでくれたら、この呼び方をやめてやるよ、偽物君?」

なんともイラっとする言い方だ。国広の眉間に、さらに深くシワが刻み込まれていく。
長義はここに来て日が浅い。信頼している主からも「長義に色々教えてやってくれ」と言われてはいるが、
毎回この呼び方をされてしまっては、いくら極めた自分でもそろそろ我慢の限界が近い。

「長義、一つ提案していいか?今回の手合わせで俺が勝ったらその呼び方をやめてくれるか?」
「お前が勝ったら・・・?はっ!いいだろう。その代わり、こちらも提案があるぞ。」
「なんだ・・・?」

腕組みしながら長義が、自信たっぷりに言う。

「もし俺が勝ったら、主の近侍を俺がやるっていうのはどうだろうか?」
「お前が・・・?まだここに来て日も浅いのに?長谷部が黙ってないぞ。」
「日が浅いって言っても、俺は政府で監査官をしていた。審神者がどんな仕事をしているかや、近侍がどんな仕事をするかは把握しているつもりだが?」

手合わせの道場で長義は刀を抜いていった。戸惑う国広を尻目に、ニヤリと笑って言葉を付け加える。「それとも偽物君は、負けるのが怖いのかな?」と。
国広は目を閉じて首を振った後、静かに刀を抜いて答える。

「負けるのが怖いなど、一度も思ったことがないな。俺は主の初期刀だ。お前に負けるなんてあり得ない。」

似たような存在が同時に刀を構えた。勝負の行方はこれいかに・・・・。




国広と長義



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