「暑い」

辟易とした様子でこぼす、彼女の手にはアイスがひとつ。
強い日差し降り注ぐ中かろうじて見つけた木陰に入ったが、太陽に温められた外気は容赦なく苛んでくる。

ポルナレフはうだる暑さに思考力を奪われながら、隣で涼感漂わせるクリームを舌先で掬い取る動作を眺めていた。

色付いた舌に乗るまろやかな白。
唇へ運ばれ、嚥下する喉の動き。
繰り返されるそれは、思考力の落ちたポルナレフの目を不思議な魅力でもって惹きつける。

「あ、」

ぽたり。
暑さに負けて溶けだしたアイスが滴となり、コーンを握る手首へと落ちた。

とろりと尾を引いて色白の肌の上を伝うそれは、まるで。

滴を拭おうとポケットを探り始めた彼女の手首を掴む。
引き寄せられるように、顔を寄せ。
ちゅ、と音を立てて、滴を、手首を吸った。

「甘っ。それにぬるいな」

口内に広がる甘ったるさに眉を顰めつつ、口直しとばかりに掴んだ手首をぺろりと舐める。

「あ、当たり前でしょう、溶けてるんだから……」

不意を突かれて動揺に揺れる瞳はすぐに逸らされるが、嫌だからではなく照れが先に立っていることは暑さに負けた頭でも分かった。
に、と笑みを浮かべ姿勢を変える。
手首から唇へ触れた時、白い滴がまた落ちた。

手首:欲望
唇:愛情

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