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突発銀土。近←土とか沖土色々混じる予定。力抜いて書いてるんでそこらへんはせめないでやってください。

 

 

 

 




 

獣道10

 

 

 

 


翌朝鏡を見ると醜い自分がいた。

 

何も考えたくなんてないのに一睡も出来なかった。そうして夜通し辛いことばかり思い出していた。

ナーバスになっていると思い出が辛いことばかりのように思えてきて、触れると痛い。

 

鏡の中の俺はつりあがった目の上に瞼が乗り出してぼっこりと膨らんでいる。俺は顔まで醜くなってしまったのかと呆れたような気持ちで思った。今の俺には相応しい顔だ。

だがこのままでは朝の面出しが出来ない。殴り合いの結果の青こぶならまぁ名誉の負傷だが、天下の鬼の副長様が泣きっ面だなんて笑い話にもなりやしない。

 

濡らしたタオルを目にあてながら時計を見やると、もうすぐで朝の練習の時間だった。それまでにこの目がちょっとは見れたもんになるだろうかとやきもきした。眠気は感じないが気だるく、深く息を吐きながら布団に倒れこむ。見えた天井が霞んで少し遠く見えた。

俺は何をしているのだろう、と自己嫌悪に陥ったあとで。

アイツのことがふと蘇った。今頃泣いているのだろうか。

心の中でもう一度謝った。

いつか許して貰える日が来るのだろうか。俺を怒っても恨んでもいない、それどころか愛しているとさえ言ってくれた相手に。

怒ってすらいないから、許して貰えもしないような気がする。

 

 

 

 

 

 

カタァン、と竹を割ったような音がして勢いよく襖が開けられた。

驚いて見やると襖に寄りかかるように総悟がたっていた。

俺が出て行けという前に憎たらしい口調で俺を蔑んだ。

「どうしたんです、そのお顔は?」

「…うるせーよ。急に入ってくんな」

舌打ちをこらえながら寝返りをうって顔を背ける。

俺をからかっているときのあの楽しそうな顔といったら。あれ以上腹の立つものはない。

アイツは本物のサドだ、と俺はわかっていた。

本物は傷を作る以上に、相手の一番触れられたくない傷を抉じ開けて舐るのを楽しむ。

昔から何回も経験してきたことだった。

真撰組をやってからは特に、沖田からは嫌味を言われるか殺されかけるかしか記憶が無い。俺は弱い上に強面で副長様なんてやってるからからかうと面白いのかもしれない。

「随分なお顔じゃないですかぃ土方さん」

「昨日はペドロ見てきただけだ」

「何を仰ってるんで?俺は「そんな驚いた顔でどうしたんですかぃ」、って言いたかったんですがねぃ」

「…寝起きに急に入ってこられりゃ驚くだろ」

背中にねっとりとした視線を感じて居心地が悪かった。俺の心も、俺がやった酷いことも見透かされているような気がした。

「おや?副長様ともあろうお方が襖の外の気配にも気付かなかったんですかぃ?」

「テメェこそ気配を消して傍に寄るな。俺の気を無駄に削るんじゃねぇよ」

「・・・・ま、いいや。これからはそんなボーッとしてもいられなくなりやすぜ」

「そりゃどういう意味だ」

意味深な言葉に鋭く突っ込んだ。が、沖田は気の抜けたような返事しか返ってこなかった。

「そのうち、わかりやす」

虚無感や脱力感が漂っていて、おかしいなと俺は思った。

サドらしくない弱気な態度だった。

「毎日テメェが殺しに来るんじゃねぇだろうな」

「そう出来たらいいんですけどねぃ。ホント。アンタなんか、殺しちまいたい」

殺しにかかってくるなんてしょっちゅうのくせに、沖田はおかしなことを悲しそうな顔で言った。






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