“大好き”の最上級をあなたに








「ゼーロースーv」


満面の笑みを浮かべながら、私はゼロスに抱きついた。
大好きな彼。
たとえ彼が魔族だとしても、この感情だけは変えることは出来ない。

この“正の感情”が魔族であるゼロスにとって毒だとしても。

それを止めることは出来ない。


「本当に、あなたはこうして抱きつくのが好きですね」


苦笑を浮かべながら、ゼロスは私の頭を撫でてくれる。
そんな手が、私は大好きだった。

暖かくて、優しくて……でも、どこか魔族としての冷たさも感じる。

そこが凄く、たまらない位に“大好き”だった。


「ゼロスは嫌い?こうして抱きつかれるの……」


「そんな事はないですよ~?」


問いかける私に、ゼロスはクスクスと笑う。
慣れてしまったのか、それとも諦めたのか……それは私には分からないけれど。


「正の感情ばら撒かれるの……苦痛、だよね?」


少しだけショボンとしながら、私はなおも問いかけた。
苦痛だと答えられれば、きっと私は少しはセーブするだろう。
言われなければ、きっと私はいつものままだ。

だって、ゼロスに抱きつくのが大好きだから。

こういう時間が好きになるくらいに、私はゼロスが大好きだから。


「まあ……そうですねぇ 最初は慣れるまでに時間がかかりましたが……」


軽く首を傾げて考えるゼロスの姿にさえも、私は胸を焦がしてしまう。
それだけ大好きで、入り込んでしまっている。


「かかりましたが?」


言葉の先を催促するように、私は身体を少しだけ離して首を傾げた。
斜め下から眺めるゼロスの表情も、私は好きだった。

だからこそ、抱きつくのを止められない。


「……今は苦痛じゃないですよ
 これがあるからこそ、あなたが僕のそばに居るって実感できますしねぇ」


くしゃりと、ゼロスは私の頭を撫でてくれる。
そんな風に優しくされてしまうと、私は絶対に勘違いしてしまう。
魔族は正の感情が駄目なはずなのに……どんどんゼロスに正の感情をぶつけてしまう。



それでも、あなたは“苦痛じゃない”と言ってくれるの?



溺れるほどに、私はゼロスが大好きで。
でも、大好きという言葉だけじゃ足りないほどに没頭してしまっている。

だから、この感情は“大好き”じゃなくて────









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