新八っつぁんと出逢って、
新八っつぁんと恋をして、
新八っつぁんとずっと…。



-月と好きと愛してる-


新八っつぁんとずっと…、
言い争い事のケンカや、まさか殴りあいのケンカなんて。
俺と新八っつぁんが一緒になった時からずっと、本当に一度も無いんだよ。

なんてことはまるでない。

俺たちの性格は綺麗な程に正反対で、そんな全く違うモノを持ってる2人だから逆に気が合ったり、安心できたり、刺激しあったり、愛し合ったり、ちゅーしたり色々したり、ね。
出来るんじゃないかなって俺は思うんだけど。

でも実際は綺麗な程に正反対な2人だから、ちょっとしたことですぐにケンカ(って云う程大袈裟なものじゃないけど)しちゃうんだ。

例えば、寒い夜に人肌恋しくて眠れない俺は新八っつぁんの部屋まで寒い寒い廊下を裸足で歩いて向かうの。ちゃんと掛け布団持参でね。
襖を開けると新八っつぁんはもう布団に入ってて、なんだか小さくて、俺は新八っつぁんの布団に潜り込むの。

「新八っつぁんあったかい」
「俺今すぐ寝たいんだけど」

ほらね、何か話が噛み合わない。

「俺も今すぐ寝ちゃいたいな、新八っつぁんと一緒にvv」
「お前は今すぐ部屋に戻れ」
「無理ーだって廊下寒いもん」
「お前が来ると空気が寒くなるんだヨ」

いつもの事だけど、キツイ一言。
わかったよ。と小さな声で呟いて俺は部屋を出た。

なんてことはまるでない。

「ねーえー新八っつぁーん!」
「なんだヨ、帰れって;」
「せっかくここまで来たんだよー?愛する新八っつぁんの為にvv」
「へぇ〜」
「ここに来る途中の廊下でさあ、刀持った浪人に出くわしちゃって、やばいっ殺される…!って思ったんだけど新八っつぁんと一緒に寝るまで死ねないからさ!俺頑張っちゃったよv」
「平助、」
「んー??」
「くだらない嘘をつくな」
「ばれた??ごめんごめんvv」

まあ、新八っつぁんは何だかんだで俺のこと大好きだから、一緒に寝てくれたけど。

「ここで寝てもいいけど…」
「やったーぱっつぁん大好きーvv」
「お前は畳の上で寝ろ」

この話を次の日左之に言ったら性格云々の前に平助が餓鬼なだけだって言われた。
お前らの惚気話は聞き飽きたとも言われた。

うん、何が言いたいのかわからなくなってきたけど。
俺と新八っつぁんはね、結局お互いのことが大好きなの、これだけは自信あるよ。
直球過ぎるのが俺で、
素直じゃなさ過ぎるのが新八っつぁん。

それでも毎晩毎晩一緒に月を見上げてたりね、笑いあったりね。
幸せだなあって、いつも思ってるよ。

「平助」
「なーに??」
「お前と居るとサ、なんかつまんないというか、落ち着きすぎるというか、いや、落ち着いてはないけど…なんか、」
「どうしたの??」
「何だろう、変わらないよね、毎日が」
「うーん」
「……」
「それを幸せって言うんじゃないのかなあ」
「……」
「毎日変わらず一緒に居られるなんて幸せなことでしょ??」
「…うん、」

新八っつぁんは素直じゃないんだけど、時々素直だからね。

「それが言いたかったんだヨ、さっき」


今までに俺が新八っつぁんに言った「愛してる」は数え切れない程の数で、新八っつぁんが俺に言った「俺も」の数も実は結構多いんだ。

でも本当は、
心の中で俺と同じくらい「好き」とか「愛してる」って思ってくれてるんだと信じてる。そうに違いない。
性格が正反対でも考えてる事は同じだからね。


そんな俺たちが、
気づいたら離れ離れになってて、俺は新選組から居なくなっていて、毎晩独りで布団に入ってて。
だって新八っつぁんの部屋に着く頃には夜が明けて、また次の夜になっちゃうから。

そんな夜が続いて、そんな夜に慣れてね。
段々とお互いの事を想う時間が減って、寂しさなんて無くなって、忘れていくんだよ、そんなもんだよ。

なんてことはまるでない。

場所は離れてるけどね、今夜も月を一緒に見上げてる。

Fin.
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最後の最後まで、
有難うございました。

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ずっとずっと

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