頑張りますんでこれからも御贔屓に! ↓次話、1st-15の前文。(全文をUPする際、こちらとは全く異なる場合があります) 9/17更新 ――― KAGERO 15話[題名未定] 乱暴に歩く足音が、ほぼ無人の廊下に響く。 床を睨みつけてるかのように目つきは鋭く、その様は傍から見るとどこぞのチンピラかと問いたくなるものだった。 沖田直哉は元来目つきが悪く、きつい表情の持ち主だ。 見方によれば凛々しくなるが、今の彼はどこから見ようと溢れ出る苛立ちを抑えられないでいるため、口を閉じた般若の形相である。 事情を知らない移動中の教師達は、皆一様に沖田直哉の表情を見るやいなや、無意識に端に寄って距離を空けた。 誰も『今、授業中である』ということを念頭から消去して、沖田直哉に声をかける者はいなかった。 事物に無関心な教師は、手のつけられない不良か何かだろうと、諦め、 沖田直哉を知る教師は、悪い意味で浮いている彼に関わりを持つのをもとより避けている。 沖田直哉の評価は クラスに『馴染もうとしない』生徒であり、 先生に『従順でない』生徒であり、 またそれらを改善する見込みのまったく無い生徒であった。 沖田直哉という生徒は、 他人が己の領域に入るのを拒む若い獣のようだった。 しかしその獣はけして立派な鬣を持っているわけでもなく、 屈強な体格を見せ付けるでもない。 病人かと見紛うほどの青白い不健康な肌色をして、 毎食の量を心配させるほど心許ない線の細さをその身体に纏っていた。 だが、その危うさが、鋭い牙となり、研ぎ澄まされた爪となって 周囲を不安にさせた。 その不安が人によっては不快につながり、加虐の対象となった。 また人によってはその不安は怯えに直結して。本能的に拒み避ける対象となる。 そしてときには非常に興味を引き立たせて、とある疑いをかけられる対象となるのだ。 彼にはそれこそ何の罪もない。 強いて罪を見出すならば、 その生まれである。 ・・・現在はここまでとなっております。次回更新をお待ちください・・・ ※最終更新日2010/9/17 09:39 |
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