「少しづつ、何か大切な事を忘れているのよ」


そうなの?とリアリィは首を傾げる。
修復できないダメージは確実にフロウフロウの本体を蝕んでいて、
霞む映像を必死に掴もうと手を伸ばした。


「メモリがやられてしまっているのだろうか」
「多分」
「忘れちゃいけないこと、沢山忘れた。
 忘れたくないこと、沢山失った」


どうしよう、思い出せない、
フロウフロウの焦りが影響して、映像の体にノイズが増えた。
零れ落ちてしまう、掬い上げられない、
それはまるで泡の様だ。


「大切な人。私を大好きだっていってくれた人。
 忘れないって誓ったハズなのに、彼女を思い出せない…
 名前も、顔も、ただ大好きな気持ちしかない」


もう、私は一人ぼっちだ。
リアリィに向けて悲しそうな声が流れた。


「どうか、もう思い出せない彼女にありがとうを、愛してるを伝えて」


途切れて消えてしまう自分の体、
せめて最後に会いたかったな。
あるはずもない涙で霞む目前に、
名前も思い出せない貴女が笑っている気がした。




『フロウちゃん、大丈夫だからね』
『…ウン』



>>流れ出したのは貴女
[フロウフロウ・リアリィ/ポップンミュージック]


***


フロウフロウが消えてしまうはなし
側にいたのは電子の女の子だけじゃなかったはず

拍手ありがとうございました!
暗い話ですいませんorz

(ここのつここの)



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