3.拍手ありがとうございました!
(コメントの返事は雑文処にて)





3.≪アスカガ・身分違い≫(SPパラレル)

『秘め恋』… 秘めた恋心 誰にもナイショの秘密の恋




代表首長という立場上、彼女―――カガリは常に命を狙われている。
そしてその彼女を守るために、自分は彼女の傍にいるのだ。

彼女の身の安全こそ最優先。


他に望むことなど何もない。





要人が最も狙われやすい場所のひとつが車の乗り降りだ。
人前に現れた彼女の姿を一目見ようと押しかける人々は、警備員をも押し退けて段々と前に迫ってくる。
彼女の人気は、それ故に危険も伴う。
人が多ければその分だけ、その中に紛れてしまえば分かりにくい。


「――――!?」

その時、微かに聞こえた銃を構える音。それに気づいたのはアスランだけだった。
軽く視線を巡らせると、人ごみを掻き分けこちらに向かう男が目に入る。

あの目は―――… 殺意!

「危ない!」
咄嗟に彼女を突き飛ばして車の中に押し込む。と、同時に銃声が響いた。
誰かが悲鳴をあげ、場はパニックになりかける。
混乱すれば逃げられる、時間が無いと判断して地を蹴った。

2発目が放たれる前に 銃を蹴り上げて弾き飛ばす。
宙を舞った銃は他のSPによって、地面に転がってすぐ回収された。

「っ」
すぐさま男の腕を掴もうとしたが、肩の痛みに一瞬伸ばすのが遅れて取り逃がす。
しかしここで逃げられるわけにはいかなかった。

「ッ 逃がすな!」

肩が熱いがそんなものは構わずに声を張り上げる。
身を翻した男が走り出す前に 退路に立った数人のSPが囲い込み、あっという間に男はその場で取り押さえられた。



「チーフ、肩が…」
走り寄ってきた部下が力無く垂れている右腕を心配そうに見ている。
破けた場所からは血が滲んでいるが、正直麻痺していたから痛みは感じていなかった。
「大丈夫だ。彼女の車を出せ。」
「ですが…」
周りが心配するくらいだからかなりの深手なのだろう。
だが、命に関わるほどではない。
「手当てはホテルでする。行き先の変更を他の奴らにも伝えろ。」
「…はい。」

今はもう痛みはない。
そもそも自分の怪我など取るに足りないことだ。
彼女が無事であることの方が重要だ。
今日も守りきれたことに安堵した。










「この馬鹿!!」
包帯を巻き終わり、上着を羽織る。
そこへ飛び込んできた彼女からの第一声にそう怒鳴られた。


銃弾はアスランの肩を掠めただけで大事には至らなかったし、彼女には傷ひとつ付いていない。
狙撃犯もその場で取り押さえられ、今は背後関係を調べているところだ。

全て完璧だったはずなのに、何故彼女は怒っているのか。


「どうしてカガリが怒るんだ? 守るのが俺の仕事だろう?」
分からないとアスランが言うと、彼女は言葉を詰まらせる。
「…次は泣くのか……」
どうしたら良いか分からない。
彼女が何を望んでいるのか。何故泣くのか。
「お前が自分を大事にしないからだっ」
大粒の涙をぽろぽろと流しながら彼女は怒る。
こんなに綺麗なものが自分の為に流されている… 望んではいけないものを望みそうになる。

「お前を失ったら、私はどうすれば良い?」
いつも気丈な彼女が見せる弱さ。
「お前がいないと私は生きていけない…」
無防備な姿で俺の前に立っているのは、ただ唯一の愛しき人。


ここで抱きしめることができたなら―――…
伸ばしかけた手を堪えて留める。


望むことなど何もない。

…望むことなど許されない。





ドラマのSPではなくて、普通のSPという職業の意味です。
立場的にはDESTINYのアレックス時代と似てるけど、あっちは普通にラブラブしてたから。
パラレルというよりはifなのかもしれませんが。






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