『トマトノトモ』



「サスケくん、トマトと私、どっちが好き?」
「トマト」
回答は聞かずとも分かっていた。
それでも、間髪入れずに返ってきた答えにサクラはがっくりと項垂れる。
サスケの素っ気なさはめでたく交際のスタートした現在も全く変わらない。
嫌いな人間と一緒にいないというのはわかるが、たまには甘い言葉でも聞いてみたいものだ。
「サスケくん、私、絶対にあなたの期待に応えてみせる!」
サクラが燃える瞳で握りしめたのは、その日の朝刊に入っていた折込チラシだ。
全国に名の知られた高級トマトが数量限定で販売される。
店は木ノ葉の里の外れに位置していたが、今から出発すれば夕方は帰れるはずだった。

「じゃあ、行ってきます!!」
「え、おい・・・・」
まだサスケが後ろで何かを話していたが、財布を持ったサクラはそのまま家から飛び出していった。
サクラの頭には、無類のトマト好きのサスケが喜ぶ姿しか頭にない。
激務の合間のたまの休日がトマトの買い物で終わったとしても、彼の為ならば少しも苦ではなかった。



「サクラちゃんって、本当に男心がわかってないよね・・・」
「何よ、それ」
呆気にとられたナルトの言葉に、サクラは思わず頬を膨らませた。
ナルトの手にはサクラから無理矢理押し付けられたお裾分けのトマトがある。
それを買いに行った経緯もナルトに話したのだが、その後のナルトの第一声が先ほどの言葉だ。
「滅多に食べられないこのトマトを持って帰れば絶対サスケくんは喜んでくれるでしょう」
「いや、今帰れば絶対怒られると思う」
「だから何でよ」
「・・・・・」

本当はトマトよりサクラのことが好きだから。
とはナルトの口から言うのも憚られる。
サクラの休日と合わせるため、サスケが近頃残業続きだったことを知っているだけに複雑な心境だ。
今、サスケは家で一人どうしているだろう。
「まあ、早く帰ってあげなよ」
言いながらナルトは自分のマフラーをサクラの首に巻きつけた。
ナルトの家に寄ったとわかったらまた問題になるかもしれないが、日が傾いて冷たい風が吹いている。
「ありがと」
にこにこと笑うサクラは、罪作りだなぁと思われているとは全く気付いていなかった。



あとがき??
サスサクは別の部署で働いているらしい。
どうもこの二人は相思相愛の片思いのイメージが強いです。
好きなんだけど、お互い別のところ見ている。
・・・個人的なナルト好きが垣間見られるSSになりました。可愛い可愛い。



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