言ってほしいなー。そんな思いを込めてじっと見つめてみる。ソファーに並んでたから、距離が近いのは仕方ない。段々と俯いていく相手に合わせて少し詰め寄りながら顔を見ようとすれば、腰に手を回された。

「智くん?」
「えーっと」

そのまま、抱きしめられて、顔を見るどころではなくなってしまう。

「とーもーくん?」
「今ちょっと顔見ないでください」
「なんで敬語?」
「ちょっと待って」

肩口に声が、音が、響いてきてくすぐったい。それでもじっとしていれば。

「好きだから。好きでいてください」

顔を見られていないでよかったと思った。



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