恋する5のお題 (女視点 清く正しく) : その1 友人の話曰く。
意外なことに、ひそかにもてているらしい。曰く、下駄箱に入りきれないほどのラブレター――とまではいかないが、時々下級生の女の子に呼び出されているとか。
無論、そんなこと私にとってはどうでもいい。
あと、そのたびに『好きな人がいるから』とかと律儀に断っているとか。
そんなことも無論、私にとってはどうでもいい。
「なのになんで、あなたはここにいるの」
「ハニーと帰りたいからに決まってるでしょ」
私のことはお構いなしに、そう言って隣を歩く。
「付き合うことになったらいろいろ困るでしょ」
「私に言い訳なんかしなくてもいいわよ」
二人で通い慣れた道を歩くのは日常茶飯事で。隣で一方的に彼がまくしたてるのも当たり前のこと。
「いい加減、気づいてくれてもいいんだけどなー」
だから、右隣から聞こえるつぶやきも、どうでもいいことにした。