抜粋・没ネタ集?
〜ギギガユ〜





「サドンデスサバイバルでもする気かおまえは!」

開口一番の怒声。 不快そうに鼻を鳴らす男が必要以上に美形で様になる事実がもう一方の男の怒りを加速させる。

「おまえが『上位咒式の訓練にぴったりの場所がある』って言うから俺はこんな辺境まで!」
「まさにそうではないか。何が不満だ」
「全部だ!!」

双方、間違ったことは言っていない。
確かにここなら巨大咒式だって紡ぎ放題、強化咒式だって使いたい放題だ。
けれど。

「異貌のものどもがうじゃうじゃいるような森で安心して訓練も何もあるか!」
「貴様それでも一応は咒式士だろうが。それくらい」
「訓練と本番は違う!」

しばらくぎゃあぎゃあと(ガユスが一方的に)喚いていたが、やがてギギナが溜息一つ吐いた。

「嫌ならこの場で尻尾を股に挟んで震えていろ」

そう吐き捨ててスタスタと先行くギギナ。‥だったが、小走りのガユスに追い抜かされる。

「――言っとくけど!」

ぐるりと振り返った勢いで錆色の癖毛が短く靡く。
余程にいきり立つ瞳は反抗的にして、己好みの青い色。
そして彼は現状精一杯の不満を叫んだ。

「おまえが一緒じゃなけりゃこんな森、俺は絶対に入らないんだからなッ!!」




その日の戦闘訓練。
ガユスはギギナに本当に見事な一撃加えることに成功した。




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黄金時代 され竜100題「34.森」

され竜・ツバサ・ギアスの順で全3話です
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