―接着剤―

「さてと、コレどないしよ」

今日たまたま管理局の廊下を歩いていたはやてが、局員たちの怪しい人だかりを見つけ、顔を突っ込んでみた。
すると慌てて、散っていく局員たち。
その中の一人を素早く捕まえると、何をしていたかを問い詰める。
すると、恐る恐る手渡されたのは一本のチューブ。
ラベルと見ると「接着剤」と書かれていた。
そして、そのラベルに小さく書かれている文章をはやては素早く見つける。

とりあえず、これが人だかりの原因だと理解したはやては、一時没収することにした。
そして、今ははやての手の中にある。

「ダメですよ?そんなに眉間に皺を寄せたりしたら」

チョンっと眉間に寄ってしまっていたはやての皺を突付く。

「あらら。私としたことがあかんなぁ。ありがとうな、リイン」

そう言って、はやてはリインの頭を優しく撫でる。

「ところで、何をそんなに悩んでるですか?」
「ん?あぁ、コレなんやけどな」

手の中にあった接着剤をはやてはリインに見せる。
リインは不思議そうにその接着剤を見つめる。

「これ…接着剤ですか?」
「接着剤やね」
「この接着剤ではやてちゃんが悩んでるですか?」

リインの問いかけに「そうや」と短い返事をするはやて。

「これはな。さっき局員から没収したもの何やけど…どうしようかと思うてな」
「どうしようって…ただの接着剤じゃないんですか?」

はやての手の上にあるのは、普通に売っているものより少し小さいサイズの接着剤。
よくよく見ると、ラベルに「お試し品」と明記されている。

「接着剤なんて、没収しなくてもよかったんじゃないですか?」

少し呆れた口調で言うリイン。

「ちょ、ちゃうって!よぅ見てみぃ」

今度はリインの目の前に接着剤を近づけた。
それをジーッと見たリインは「あっ」と小さく呟いた。

「わかった?」
「…わかりましたです」

接着剤のラベルの隅に小さく”超強力 一瞬接着剤”と明記されていた。

「普通の接着剤ならわかるんやけどなぁ。この説明書を読むとな」
「そうですね」

説明書にはこう書かれていた。


『この接着剤は超強力で何でも一瞬でくっつけて絶対に離れません  非売品』


「こないなもん、間違って使われてみ?局内が大変なことになるで」
「お、恐ろしいです」

リインが怯えながら、はやての言葉に頷く。
そんなリインを見ながら、はやてはこの接着剤をどうしようかと考える。
その時、はやての頭の中に親友二人の顔が思い浮かんだ。

はやては素早く通信画面を開く。

『どうしたの?はやてちゃん』
「ちょぉ用事があってな。今大丈夫?なのはちゃん」
『うん、大丈夫だよ』
「そか。せやったら、悪いんやけど預かってほしいものがあるから、部屋まで来てくれるか?」
『預かってほしいもの?私でよければいいよ。じゃあ、今からお邪魔するね』
「ほな、後でな」

そう言って、通信を終えるはやて。
そして、途端に笑いだす。

「は、はやてちゃん…怖いです」

リインの小さな呟きは、はやての笑い声にかき消されていった。

To be continued?



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