お礼  《ビー玉》


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――― ビー玉 ―――



「サクラ、手ェ出して」



静かに差し出された手の平の上に乗せられた一個のビー玉。

透き通るような瑠璃色のガラス玉が、光を反射してキラリと輝いた。



「綺麗・・・。カカシ先生、ありがとう」



カカシからの他愛ない贈り物を、サクラは嬉しそうに握り締める。



事あるごとに、綺麗なビー玉を見つけてはサクラに贈り続けるカカシ。

昔、任務中に道端に落ちていた赤いビー玉をカカシが拾い上げ、

サクラがそれを懸命にねだった事があった。



先生の手に触れたものが欲しい・・・。



その一心で、傷だらけの赤いビー玉を強引に手に入れたサクラ。



「サクラはビー玉が好きなのか?」



それ以来、カカシは綺麗な色のビー玉を見つけては、せっせとサクラに手渡し続けた。





赤色、水色、緑色・・・。

虹の七色よりも鮮やかなサクラの宝物たちは、

大振りのグラスに入れられて複雑な乱反射模様を描いている。

カカシから貰ったビー玉たちがこのグラスから溢れ出す頃には、

サクラの想いはカカシに通じているだろうか。





「カカシ先生・・・。先生の事が・・・、大好きです」


新しく貰った瑠璃色のガラス玉を、目を細めて光に翳しながら、

ちょっと怪しい風采のエリート上忍の名前を呟いてみた。










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