「お。お帰り、今日こそはあったか?」
「・・ない…」
散歩から帰って来たらしいアイツの姿が目に入り、声をかけてみたがいつもの元気はなく。
ここのところアイツは毎日、探し物をしに出掛けてはガッカリして帰って来る。
「だから言っただろう?幸せはそんな簡単に、手に入るもんじゃないって」
「分かってるけどさ…でも欲しいじゃない!幸せのクローバー!!」
そう、アイツが探しているのは宝の地図でも宝石でもない。
野に生える、小さな小さな植物。
アイツが言うには、普通のその植物は葉が3枚付いているものらしが、
ごくまれに4枚ついているものがあるらしい。
なんでも、それを見つければ幸せが訪れるとか。
「大体、そんなものなくたってお前は幸せだろう?」
「確かにそうだけど…それって自意識過剰よ、ガウェイン」
何を言う、お前が先に俺に惚れたくせに。
とは言え、俺もかなり前からコイツに気があったわけで。
結局のところ、俺もコイツが喜ぶ顔を見たいわけで。
「仕方ねぇなぁ…。それじゃ、元気がなくてカワイソーなお前にプレゼント」
ムスと膨れっ面をしたアイツが、?プレゼント?という言葉に反応し、
少し顔を上げた先に差し出された俺の手が、握っていた箱の中には。
「・・・・四ツ葉のクローバー!?」
「感謝しろよ?これ見つけるのに、鍛錬の時間も削ったんだからよ」
不機嫌だった顔が一気に満面の笑みに変わり、箱を受け取る。
『さっすがガウェイン!』と俺の胸に飛び込んできたアイツを受け、その反動で後ろへ倒れる。
お前の幸せを探すのが、俺の役目。
お前に幸せを与えるのも、俺の役目。
こんな小さな幸せで、俺が一番好きなお前の表情が見れるのが、俺の幸せだから。
どんな小さなモノのためだって、トクベツ、大きなことをしてやるさ。
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<ガウェイン夢>
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