100個で1組のお題 映画100 071:プラトニック・セックス



俺の翼が恋情で真っ赤に染まったのは、つい最近のこと。
淡く色付いてからこの色になるまでほとんど時間を必要としなかった、のは。

「すごく、綺麗、だ」
「そっか?」

いまだ純粋培養そのままの純白の翼の幼馴染が俺の腕の中にいて。
こうやって俺の翼が染まるのを頬を同じ色に染めて見守っているから。
色が変わる気配の無いこの両翼が、俺以外の誰かの腕の中で。
変わってしまったら、きっと。

「修、ちゃん?」
「……お前の色、いつになったら変わるかな」

もし自分以外の誰かへの想いでこの翼が染まったら。
きっと俺の両翼は二度と綺麗だなんて言ってもらえない色に。
昏い闇に溶け込む黒に、染まるだろう。

「俺、も、早く、大人に なりたい のに」

赤く染まった頬のその色が真っ白の翼にも移れば良い、と。
思いながら翼の付け根を指先で撫でたら。

「……廉」

淡く染まっている柔らかな羽毛が一枚だけ。
その指先に触れた。

「修ちゃん?」

俺がその相手なら、その想いが勢い良く溢れ出したら。
もっと、赤く染まるはずの純白の翼。

「……好きだ、廉」

触れている指先、親指、人差し指、中指、薬指、小指。
熱を出したかのように、染まっていく、柔らかな羽毛。

「お前が、好きだ」

撫でるように触れた、掌の、中。
染まっていく、それに。

「約束、ちゃんと守ったぞ?」

囁くように零せば、ふわりと花が咲くように。


幼馴染兼恋人に関係が変わった、そんなある日の話。






ええと、結構前に拍手で書いた欲望の翼、のその後です。
……プラトニック、って(笑)
修廉に、ものっそい似合いの単語ですね!


拍手、ありがとうございました。



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