拍手ありがとうございます!



<お題小咄>


■"政宗"が"いつき"を「甘やかす」■

 きれいな着物も、優しい言葉もいらないから。

「お〜伸びる伸びる」
 摘んだ頬を左右に引っ張って、政宗は笑う。
「なにすんだ!」
 ぺちん。と頬を摘む手を叩いて、解放されると、ヒリヒリする頬を両手で包むようにして、じろりと睨む。
「いやいや、可愛いぞ?」
 なんだか馬鹿にしてるんじゃないか。と、思えるような軽い口調。ぷぅ。と頬を膨らませて、拗ねたフリをすれば、まぁまぁ。と、やっぱり笑ったような声。
 でもいつきだって、本気で怒ってるわけじゃない。
「そう膨れるなって。ほら」
 ぽんぽん。と、政宗は膝を叩く。いつきはおずおずと近寄って、政宗に背中を預けて座り込んだ。
「Ah〜結構荒れちまってるな」
「仕方ないべ。百姓の手ってのはこういうもんだ」
 大きな手が、いつきの手を包み込むようにして触れる。一本一本、品定めをするように指に触れて、それからぎゅうっと握りこんで…ぐう。ぱぁ。と、握ったり、開いたり。なんだかそれが可笑しくて、いつきも同じように、政宗の手の中で、手を握ったり、開いたり。
 ぐぅ。ぱぁ。ぐぅ。ぱぁ。
 言葉を交わすのでもなく、黙って、ただ、可笑しくてくすくすと笑って。政宗の低い笑いが漏れるのを頭越しに聞いて。

 原因がどうとか、そういうのじゃなくて。ただ、無性に寂しいような気持ちになった時、政宗は何も聞かないでいてくれる。何も聞かないで、ほらって言って、膝を貸してくれて、こうしてただ黙って、相手をしてくれる。

 どうして、このお侍は、何でも判ってしまうんだろう。

 背中に確かな温かさと、安心感を覚えてしまう。甘やかしてくれる。それがひどくくすぐったくて、でも嬉しくて…


                                 <戦国BASARA/伊達政宗・いつき>



ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)
お名前
メッセージ
あと1000文字。お名前は未記入可。