向日葵の向くさき-w058
以心伝心 (『結婚後』設定)
「いってらっしゃい。零一さん。」
「ああ、行ってくる。」
いつもの時間、いつものように旦那様を玄関まで送り、いってらっしゃいのキスを交わす。
夜まで会えないことを寂しく思いながら目を開き、はにかむように長身の彼を見上げれば、彼の瞳から何かが溢れ出しているような気がした。
「ねぇ、零一さん。」
「・・・なんだ?」
「零一さん、今、私のこと ”大好き” って思ってたでしょ?」
「・・・っ。き、君は、何を・・・。」
言葉よりも雄弁な真っ赤な顔と泳ぐ視線に、私は満面の笑みを浮かべる。
・・・だって今、私もそう思ってたんだもの。
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