押してくださってありがとうございます 励みになります <お礼のSS みてるだけ> 隣の席の前田が珍しく授業中に寝ていたので気になった。 いつもは熱心に授業を受けている奴なので、 なにかあったかなーと思いながらも、僕は聞けずにいた。 お昼の休憩時間になっても、だんまりのままだ。 前田とは隣の席だけど、たまに「消しゴム貸して」くらいしか口を聞かない。 僕が人見知りをするのがいけないと思うが、 前田が何を好きで・どんなところに住んでいて、 将来は何を目指しているのかも知らない。 少しは聞いてみたいけど、話すきっかけがつかめない。 「前田ー。警察に行った?」 友人らしい奴の声で前田が顔を上げる。 しかし『警察』だなんて、これは聞き捨てならない。 なにがあったのだろう? 「恥かしくていけないよ。あーあ」 思わず聞き耳を立ててしまい、余計、気になる。 だけどこのまま隣の席に座ったままじゃ、 なんとなく居心地が悪い。 僕は席をたち、渡り廊下をふらふら歩き、 用もないのに職員室の前にさしかかった。 「前田は淫行で捕まりますかね?」 「違いますよ、相手が淫行で捕まるんでしょ」 え?淫行? 「まさか、優等生の前田が20も年上のおっさんと交際していたとはね。 しかもハメ撮りって…」 は? 教師の下卑た笑いが無性に腹立たしかった。 ことの真相は知らないけど、前田が気の毒でならなかった。 僕にできることは何かないだろうか、 こういうときに前田の好きなものを知っていたら差し入れができるのに。 僕は、ただ隣にいるだけなんだ。 教室に戻った僕は、何も聞けないままだった。 さりげなく見た前田の寝顔に、なにもできないもどかしさを感じた。 |
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