※パロです※






皆さん今晩は。イエロー・デ・トキワグローブです。
唐突ですが、ボクは今困っています。とてもとても、困っています。


その日ボクの家には密かに思いを寄せている先輩、レッドさん(もうむちゃくちゃかっこよくって、素敵で、優しくて、運動できて勉強も出来て人当たりも良くてポケモンとも本当に仲が良くて以下略)を初めとする、グリーンさん、ブルーさんたちが遊びに来てくれていました。

同じ部屋にレッドさんがいる、それだけでもうボクは舞い上がってしまっていたのに、
あろうことかボクの気持ちを知っているグリーンさんとブルーさん(主にブルーさん)が気を利かせて、2人で買出しに行ってしまったのです。


(ちょ、ぶ、ブルーさぁん!)
(チャンスじゃないのイエロー、私達ゆっくりしてくるから、この隙に押し倒しちゃいなさいv)
(お、おおお押し倒すって!)
(ホホホ、頑張ってねーv)


気が付けばボクはレッドさんと2人きり。
一人暮らしをしているボクの部屋はそう広くはなく、正直もうボクはいっぱいいっぱいでした。
先程からレッドさんが話しかけてくれているのに、もうちゃんと答えられているのかさえ、ボクには分かりません。


(どうしたんだイエロー、さっきから上の空だけど……)
(いいいいいいいえ!何でもありません!だいじょうぶです!)
(そうか?それならいいんだけどな!)


わああんもう無理!早く帰ってきてくださいブルーさんグリーンさんー!

そう思ったときです。ピンポーンと、ドアベルが高らかに鳴り響きました。
2人が帰ってくるには少々早すぎる気はしましたが、誰にしたってこのときのボクには天の助けです。
ボクは玄関に向かって駆け出しました。天の助けどころか、これからの波乱の幕開けであるとも知らずに。






「はぁい!どちらさまでしょう?」

「今日隣に引っ越してきた者だ。挨拶に伺わせてもらった」

「それはわざわざご丁寧に、今あけま、…………」

「ああ、すまない。初めまして、俺はワタルと………」







しぃん、開けた玄関の扉の前で、お客様とボクはかちんと固まってしまいました。
お互いに見覚えがあったからです。いえいえ、見覚えどころではありません。完全に見知った顔でした。







「わ、ワタル………?」

「お前、まさか、イエロー、か………?」







彼はワタル。小さい頃ボクのお隣に住んでいた、少し年の離れたおにいさんです。
ワタルにはイブキという妹さんがいて、2人でよくボクと遊んでくれていました。

ボクが家庭の事情で唐突に引っ越してしまってからは、連絡の取り様もなく、ずっと疎遠になってしまっていたのです。





「うわああワタルー!元気にしてましたか?何でこんなところに!?」

「こ、こっちのセリフだ!いきなり居なくなりやがって、俺もイブキもどれだけ心配したと思ってる!」

「ごめんなさい、あの、実は母さん、が、」

「何?」




「イエロー、どうしたんだ?あいつらじゃないのか?」




ボクがワタルに今までの経緯を説明しようとしたまさにそのとき、ひょこりレッドさんが顔を出しました。
ワタルの纏っていた空気が一気に凍りつきます。ぴしりと音がなったような気さえしました。


「わ、ワタル………?」


彼はちらりと視線を落とし、ボクとレッドさんの、玄関に二足しかない靴を確認したようでした。
そしてゆっくりと顔をあげます。その口元は微笑みをかたどってはいましたが、完全に目が据わっていました。



「あ、あの、」

「イエロー、お前、見たところ一人暮らしだろう」

「は、はい」

「あの男はなんだ。まさかお前、」

「ち、ち、違いますよ!何勘違いしてるんですか、レッドさんは、」

「ほう、レッドというのか。嫁入り前の一人暮らしの娘の家に上がりこむとは、とんだ非常識野郎らしい」

「な、いや、俺は」

「御託はいい。貴様イエローとはどういう関係だ……返答によってはただでは済まさんぞ」

「は!?」

「わ、わ、ワタル!何言ってるのやめてください!」





必死ですがりつくボクの頭を軽く撫で、ワタルはそのままボクを引き寄せました。
そしてじろりとレッドさんを睨み付けます。

ボクはワタルの腕のなかで慌てました。
見た感じ今はもう落ち着いているようですが、ワタルは昔、地域一帯を締めていた相当のヤンキーだったからです。




「れれれレッドさんはそんなんじゃありません!落ち着いてくださいワタル!」

「答えろレッドとやら、そしてさっさと出て行け」

「……なんだかよく分からないけど、いきなり来てその態度はないんじゃないか。イエローが困ってる。離せ」

「ほう、随分と生意気な口を利く小僧だ」

「や、や、やめてくださいったらあ!」







ワタルが更にボクを抱く腕に力を込めました。
なんだかレッドさんの方の空気まで凍った気がしますが、如何せんボクはワタルに抱きしめられているので見えません。

ブルーさんとグリーンさんはまだ帰ってきません。
ワタルとレッドさんはにらみ合っています。正直怖いです。





皆さん今晩は。イエロー・デ・トキワグローブです。
ボクは今困っています。とてもとてもとても、困っています。












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