-届かない言葉で(拍手おまけ)-





この時間になってもまだ起きてこないとは・・・。



「ドイツいつまで寝ているんですか!早く起きて朝食の支度を手伝いなさ・・・」

ドイツの部屋のドアを開けて一番に目に飛びこんできたものは、
1つしかないベッドにドイツとイタリアが仲良く並んで寝ている光景だった。


(ああ・・・、イタリアが来ていたんですか・・・)

イタリアの記憶が戻った報告は既にドイツから受けている。

イタリアは家で1人では寂しいからと自分が寝ているベッドを抜けて、
こうしてドイツのベッドに入りこむ事がよくあった。
自分がイタリアの来訪を知らないとなると、夜中にドイツの部屋に訪れて
そのままベッドにもぐりこんだらしい。


・・・さて、目が覚めた時のドイツの反応が楽しみなものです。


深く眠ったドイツはイタリアの後頭部と腰に手を回し、さらに自分の足で
イタリアの両足をも挟み込んでまるで抱きマクラのようにイタリアを抱え込んでいるのだ。

気持ちよさそうに眠っているドイツに当分起きる気配はない。

朝のテーブルで動揺して、私の自慢の珈琲はこぼさないでもらいたいものですが・・・。

これは無理かも知れませんね。

チラリとベッドで深く眠るドイツを見て確信する。

過去何度となく自分が入れた珈琲はこぼされ、テーブルに噴出されてきたのだから。

今日は朝寝坊くらい許してあげますよ。

部屋に入った勢いとは反対に今度は音を立てない事だけに神経を使いながら部屋を出る。


しばらくすれば家が震える程の音量で
ドイツの悲鳴に近い声と続いて怒鳴り声が聞こえてくるだろう。




それもまた、いつもの光景。