天気の良い日曜日。家族揃って出かけたのは緑の広がる公園。
3人の子供達は犬丸(我が家の愛犬)とじゃれあいながら楽しそうに走り回っていた。
キラキラと輝く笑顔に目を細めて見守る。

レジャーシートの上に寝っころがって、澄みきった青空を見上げる。

横に座っている妻へと視線を変えれば、自分と同じような目で子供達を見ていた。

優しく吹いた風にゆっくりと髪を押さえる動作に、少しどきりとする。
自分は一体いつまで彼女に恋をするつもりなのだろう。




「どうかしたの?」



不思議そうなあいの問いかけに「いや…」と答えてからそのまま続ける。



「早いものだな、と思って。中学の時に出会って、色んな事があって、結婚して、子供が生まれて……
 気がついたらあっという間だった気がしてさ。」
「そういやそうね。あんたも私も年とったわね〜」



クスクス笑うあい。
実際、俺達は結構早くに結婚したので(貯金してたかいがあった)まだ27なのだけれど。
早いんじゃないかとも言われたけれど、一緒にいたかった。

自分で言うのもなんだけれど、俺は結構、物事に関して無欲な方だと思う。
………その癖、頑固者だとは言われたけれど。

もっと『自分の為だけに』欲深くなって良い、と言ってくれた。
思えばその言葉が俺の望んだ我侭への許しの言葉だった。

なら、俺が望むのは、唯一通す我侭は、決まっている。




頬を撫ぜる風は変わらずに優しい。
俺はちょっとだけ、いたずら心が働いて、ちょいちょいっと指を動かして彼女に近づくように伝える。
横になっている俺の顔を覗き込むように見つめるあいで、俺から空は見えなくなった。
けれど、俺にとっての青い色はいつだって彼女だったから。



「………あい。俺は今幸せだ。」



頬に触れながら呟けば一瞬固まったけれど、すぐに笑顔になって俺の予想外の言葉で答えた。




「何言ってんのよ。まさかこれくらいで満足してるんじゃないでしょうね?
 もっともっと。これからもずっとまだまだ先は長いのよ?
 人生楽しまなきゃね〜 ね、耕助?」




今度は俺が固まる番だった。けれど先ほどの彼女のように俺もやっぱりすぐに笑い出す。
あぁ、やっぱり敵わないなぁ、なんてのは心の中だけの声だ。




「あー!父ちゃんお外でも寝てるーー!」
「ねてるーー」
「お父さんも起きてっ!一緒に遊んで!」
「ワンワンっ!」


「ほら、呼んでるわよ〜”お父さん?”」



まだまだ遊び足りないらしい愛しい我が天使達は元気に明るく呼びかける。
ならば父親としてリクエストには存分に答えてやらなくては。

起き上がって少しだけ身体を伸ばし、立ち上がる。




「行ってくる」
「がんばってお父さん」








歩いてきたのは、苦しくも愛しい幸せな日々。


色々な事があった。


1人と1人が2人になって、3人になって今では5人、いや6人になった。


幸せだと思える毎日が嬉しかった。


けれどそれも、まだまだ途中地点。


これからも続いていく、幸せへの第一歩なのだろう。


ならばこれからも俺は歩く。


増えた守るべき者の為に、前を見つめて、お前と一緒に。










ついでに一言あればどうぞ(拍手だけでも送れます)

あと1000文字。