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年の初めに



ぼんやりと霞む意識の外で、微かにメール着信を告げる軽快なリズムが鳴り響いた。
その僅かな音源にも不快感を覚え、半ば埋もれるようにして枕に押し付けていた顔面を更に深く沈める。

と、今日は何時もとは違う日なのだと言うことを唐突に思い出して、重くて堪らない頭を億劫に思いながらも何とか持ち上げた。
身体仰向けて、枕元近辺に投げ置いたままだった携帯を探る。程なくして目的のモノを探り当て、開ききらない瞼でもってディスプレイを確認する。
すると案の定ディスプレイにはメールの着信を告げる表示。
緩慢な動作でもって操作すれば、着信は22件。その大体が日付が変わった辺りに送りつけられたもので、親しい友人の名が大体だった。
一件一件目を通していけば、当たり前と言えば当たり前、皆が一様に新年を祝う文言の嵐。
最初は年に一回の安否確認のようなメールの数々に頬を緩めていたものの、それも同じようなものが幾つも続けば飽きてくると言うもの。
徐々に遠のいていたハズの眠気が戻ってきて、再びうつらうつらし始めた。
ところが、元日からメールを送ってくるような間柄ではない相手の名前に、はたと手が止まった。
パチ、と一つ瞬いて訝しく思いながらメールを開く。

ぶっ!

と、いきなり画面一杯に現れた恋人のあられもない姿に全身の全てが完全に目覚めた。
勢い良くベッドの上に跳ね起きて、携帯を両手で握り締めて食い入るように画面に見入る。

恥らって伏せられた長い睫、皇かな頬をほんのり朱に染めて華奢な肩を縮めるその姿は確かにオレの最愛の人・竜崎桜乃だ。
確かに写メに写っている人物は竜崎、なんだが。
写っているその格好・シチュエーションが有り得ない。
目を皿のようにして写メの隅々を舐め、それが合成などではないことを確かめた上で通話ボタンを押した。




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