「小話1 幸佐」

ある晴れた日の昼間。
幸村と佐助は縁側で並んでお茶を啜っていた。

「ねぇ旦那、ちょっと相談にのってくれない?」
「ん、何だ?」
「俺ね…病気かもしれないんだ」
「な何っ!?ど、どういうことだっ」
「うん……最近ね、動悸が酷いんだ…」
「動悸…?」
「そう。大して運動してないのにこぅ…痛いくらいにどきどきするんだよね」
「なっ!!大丈夫なのかっ??」
「分かんない…今の所は支障はないけど」
「……一体何時なるのだ?何時もか??」
「うぅん。でも今はちょっと辛い」
「あぁぁぁ……何か大変な病気で御座ろうかっ、お、お館様にご相談をした方がよいのでは」
「そんな…大げさにしなくてもいいって……でも長引継ぎ位は頭に置いておいた方がいいかも」
「!!!!!そ、そんなに酷いのかっ。矢張り医者を呼ばねばっ!!
 佐助、一体どんな具合なのだ?」
「う〜ん……何時も何時もって訳じゃないよ。ただ時々、ふっとした時に動悸が激しくなるんだよね」
「た、例えば?」
「えっと……まずは朝一番に旦那を起こしに行った時」
「某をか?」
「うん…障子を開ける寸前くらいから胸が痛くなる」
「ふむぅ、それから?」
「後は…旦那がご飯を食べ終わった時。美味しかったって言われるとまた痛くなる」
「ふ、ふぅん??」
「それから旦那が鍛錬してる時。遠目から眺めてるとやっぱり胸が痛くなる」
「……そ、それで?」
「旦那が湯浴みをした後、着流し一枚で出てくると胸が痛くなって、その後顔が熱くなる」
「………」
「それから旦那が寝る時に、お休みって言って部屋に入ってくと動悸がする。でも昼とは違って少しきゅうってする」
「………」
「ねぇ、やっぱりこれって病気?ヤバイのかな??
 心臓に欠陥があったりしたら忍びとしてやってけないし…俺様最近真剣に引退とか考えて……
って旦那聞いてる???」
「………」
「旦那、何で俯いてんの??
 って、あぁ!!!顔赤っ、お、俺様の病気がうつった!?!?
 い、医者医者あぁぁぁ」

パタパタパタパタ………


「疎いにも程があるぞ…」

走り去ってしまった佐助に、一人縁側に残され幸村は赤い顔を手で覆った。












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