今年からホグワーツに通うことになったドラコは、ホグワーツ特急に揺られながらちらりと前を見た。
向かいの席ではクラッブとゴイルがドラコが持ってきた菓子に食いついている。
ふぅ、とため息をつき、窓の外を眺めた。

『ドラコ、今年の新入生の中に、東洋の島国出身の少女がいる。東洋の方ではとても有名な名家の娘でな…
 もちろん、純潔だ。もしかするとお前の婚約者候補に入れるかもしれない。失礼のないようにな。』

出かける前に突然言われた父からの言葉。
はっきり言ってドラコにはあまり興味がなかった。
婚約者だの恋人だのという年ではないし、それに小さな島国の娘だという。
そんな少女よりも、ドラコは同じ新入生にいるハリーポッターのことが気になっていた。
しかし父親に言われたからには、無視するわけにはいかないだろう。

「東洋の魔女…か。」
「え?」

ドラコがポツリとつぶやくと、グラッブが顔を上げた。
「いや、なんでもない。それより…お前らの胃袋は底なしか?全く…」
ドラコはすっと立ち上がった。
「どこか行くの?」
続いてやっと菓子の山から顔をあげたゴイルに、ドラコは淡々と答えた。
「ちょっとな。お前らはここにいろ。」
ちょっと−−ただちょっと興味があるだけだ。
異国から来た少女だ。もしかしたら一人ぼっちかもしれない。
不安がっているかもしれない−−。

その時ドラコ達のいるコパーメントのドアが開いた。

「ドラコ!4つ隣のコパーメントに、あのハリーポッターがいるらしいわよ!」

キンキン声で発せられたその言葉に、ドラコはにやりと口の端を上げた。
「おいお前ら。あの有名なハリーポッター様の顔を拝みにいってやろうじゃないか。」
「ドラコはどこかへ行くんじゃなかったの?」
「いや、ハリーポッターがどんなやつなのか見に行くほうが面白そうだ。」

ハリーポッター…さて。どう料理してやろうか?

ニヤリと笑ったドラコは、少女のことを頭の隅に追いやった。





二人が出会うのは、もう少し先の話−−。


<ハリーポッター夢『バレンタインパニック』ヒロインより ドラコ夢>

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