「マスター、マスターみたいに、美味しい珈琲やお茶をいれるコツは?」
「神崎くん、それは、そうかんたんに教えられるものではありません。
桃栗三年柿八年、日々の積み重ねこそがだいじです……それに私も、
まだまだその『日々』を重ねている途中ですから。
ですが……」
「ですが?」
「私のいれたお茶を一口ふくまれたお客さまが、ほっとやすらいだ
表情を見せてくださると、思わず嬉しくなりますね。
あ、拍手をいただけたな、って。
そういった表情を思いうかべると、お茶がおいしくいれられるような
気がします」
「マスターは、そんな表情の記憶をたくさん持っていそうですね」
「ふふ……私にとっては、とてもたいせつな記憶ですよ。
あるときは言葉以上にこころづよく励ましてくれる、拍手のような
お客さまのそんな表情は、ね」







もし何か、一言ありましたら……(拍手だけでも大歓迎です)

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