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「あの、さ」
そう言う彼の視線は私に注がれていて、私は思わず俯いた。
「こんなこと言うの恥かしいけど、今まで誰にも感じたことないくらいにものすごくおまえのこと好きだ。 今までおまえを縛りたくなくて・・・ていうか言うのが怖かったのかもしれないけど・・・」
私の肩が震えたのを彼は気づいただろうか。心臓がバクバクと高鳴っているのに気づいているだろうか。 絶対に赤くなっている顔を隠したくてもっと顔を下げる。ちょうど視線がそこにあった彼の手にあたる。いつも その手にこの私の手を握って欲しいと、抱かれたいと思っていた。少しゴツゴツとした男の人らしい でもスラリとした指。私はいつも彼を見ていた。
その手が今、震えていた。
愛しい。今、心から彼を愛していると感じる。
「今じゃなくてもいいんだ。いつか、答えを聞かせてほしい」
この心の中にあるポカポカした気持ち。これが愛じゃなかったら、いったいなんだと言うんだろう。 きっと私は彼が私のことを想ってくれている以上に彼を想ってる。彼が私を思ってくれていた それよりずっと前から彼のことが好きで、好きでたまらなくって。その気持ちがいつの間にか愛へ変わっていた。
ああ、愛してるよ。
思わず私の手が伸び、しっかりと彼を抱きしめていた。
「大好き。ほんとに大好き。知ってたでしょ?」
だって私はいつも彼の前ではおとなしくて、顔を赤くして、できるだけ近づこうとしていて。 それでも気づいていなかったんなら彼は鈍感っていうことになってしまう。
彼はそのことにはなにも答えないでぎゅっと私を抱きしめ返してきた。
「ありがとう」
きっと私たちは今誰よりも幸せを感じてる。



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