BASARA

(ダテ→サナと小十郎・微狂気注意)









「それは、恋などではありません」

腹心の家臣である小十郎が、まるで言い聞かせるかのように――否、真実、言い聞かせているつもりなのだろう――言う。

「それは、愛などでもありません」

恋と愛の違いなど深く考えたことはないしよくはわからないが、どちらも相手を強く強く、飢えるほどに求める感情だろう?

「政宗様は、これまで経験がなかったので勘違いしておられるだけなのです」

確かに俺は、これまで恋などしたことはないし。
誰かを愛していると思ったこともない。
ガキの頃から枯れた寺に預けられて、儒学だ軍学だ武術だと、ンな暇は無かった。
――まぁ、暇があるからするってもんでもないんだろうが。
やっぱ、ちったぁ余裕が無ぇとできねぇもんだろうし。

俺は、恋をしているという自覚がある。
けれど、俺以外の他の奴の恋だの愛だの――その時の気持ちがどんなもんだかはよくわからねぇ。
俺にわかるのは、俺の恋だけ。
自分じゃない奴のことなんて、わかりゃしねぇ。

「――なんで、テメェにわかるんだ?」

牽制のつもりで言った言葉じゃ無ぇ。
ただ、純粋に疑問だった。恋じゃない愛じゃないと、小十郎に俺の恋情の形がわかるというのか?

「わかります。政宗様は、勘違いをしておられます」
「――してねぇ。俺は、恋をしている。
・・・生まれて初めてした恋が、その相手が敵将だってことを、お前は笑うか?」
「笑うなどと・・・。ですが、それは恋ではありません」
「いいや、恋だ。愛しいと、何の衒いも無く口に出せる。
・・・一緒に、いるだけで幸せなんだ・・・!」

かちゃん、と、軽い音がした。

「・・・これが、恋だと言うならば・・・、そなたは間違いなく狂うておる・・・っ!」

自力で口枷を外したらしい幸村が、俺を睨む。
・・・狂う?狂う・・・最高じゃねぇか!恋に狂う!そうだオレは、お前への恋に狂ってんだ!

「な、何故、笑っておる?」
「出てけよ、小十郎。オレはこれから、幸村とpartyだ!」
「政宗様!」
「出てけ小十郎!命令だ!」

小十郎を部屋から閉め出して暴れる幸村を抱きしめると、本当に幸せな気分になった。
こんな気持ちが恋じゃないなんて、そんなわけはない。

「っ、離せ!そなたは、某のことを好いてなどおらぬ!」
「何でそんなことが言える?オレは、お前が居てくれさえすれば、それで良いのに」




恋をした、恋をした、どうしようもないくらい恋をした。
たとえ誰もが認めなくとも、オレはお前が好きなんだ!










さりげなくずっと居た幸村(ここ笑うポイント・・・ですよね?)。
口枷は、自殺防止のためにではありません(「は?幸村が自殺?何で??」とか、この政宗さま言いそう)。
プレイのためでもありません(この話ではまだ、キスもしてません。ハグまで。監禁はしてるけど)。
多分、幸村に「人攫い!外道!変態!」とかその辺のことを言われて、悲しくなって嵌めたんだと思います(メンタル面の弱い政宗様)。

・・・切ない感じのを書く予定ではありました。
何故・・・、何故、私の書くダテサナはいちいち狂気が混じるのか・・・。

拍手、ありがとうございました!(礼)
これでまた頑張れます。



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