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ニルティエ・2期終了後を捏造その1 hina



 頭ごと掻っ攫うようにティエリアの髪を引き寄せて、俺は鼻先を突っ込んだ。
「……ッ何、を、するんですか突然」
 卵を溶くティエリアの菜箸が不自然に止まる。嬉しいくせに、緊張が先に立って仕方ないのだ。そういうところも好きでたまんねぇ。思わず頬擦りしたくなる。俺がどれだけこいつの存在に救われているか、ティエリアはきっと知らないだろう。それくらい俺の好きは大きすぎて始末が悪い。
「いー匂いがすると思って。美味そうな」
「ベっベーコンの匂いではっ」
「それ早く引っくり返さねぇと焦げちまうぞー」
「では頭を離してくださ、ひゃ」
 ティエリアの声が裏返った。俺がティエリアの髪の生え際を舐めたから。
 六畳一間のワンルームマンション、壁も床もコンクリート剥き出しの部屋にカーテンだけが真っ白で、備え付けのちっこいキッチン、不慣れなりにせっせと遅めの朝食を作るティエリアと、その腰が触れ合う距離で部屋の狭さに辟易しながら銃の手入れを終えて飯を待つ俺、ニール。
 あの戦争で手に入れたものがこれだとしたら――俺は、世界一、恵まれすぎだ。
 廃棄されたガンダムの形見にとテーブルへ飾る螺子一つだけが、失った多くのものを象徴するように錆びていた。




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